319: 1/2 2010/04/01(木) 01:05:51.58 ID:ViG35PD1O 480 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2010/03/07(日) 19:23:12 ID:c23EwCp+ 日本で勉強する目的だかで俺の住むアパートに越してきたアメリカ人の黒人青年がいる。仮にサム君とする。 なんやかんやで言葉を交わすうち親しくなり、部屋を行き来したりもするようになった。 で、彼が日本の家庭料理食べてみたいと言うんで、軽い感じで俺の実家に招いた。実家はアパートからあんまり遠くないし。 事前に電話で言っといたとはいえ両親も最初はドギマギしてたけど、そのうちカタコトで打ち解けてた。 サム君はまんま陽気で豪快なブラザー的な男なんで、イエーイ、ママの料理サイコー!パパさん男前ネーハッハー!みたいな感じ。 料理も煮付けとか豚肉の生姜焼きとか、簡単な物なんだけど喜んでもらえたみたい。 で、食後のお茶を飲みつつまったり時間を過ごしてたんだけど、サム君がふいに黙り込んで、動かなくなっちゃったのね。 ん?と思ったら、どうやらテレビに視線が釘付けになっている。 ちょうどテレビでは、N○Kの演歌番組をやってた。で、歌っていたのは、島津亜矢さんっていう演歌歌手。 ものすごい声量で、唸るように歌い上げる人なんだけど、サム君、一声呻いたかと思うと、途端にボロボロと泣き出した。 その時島津さんが歌ってたのが、「帰らんちゃよか」っていう歌のカバー。 夢を追って都会に行った子供に、両親が、 「そっちはどうだい、おまえのやりたいことをやれてるかい。親はどうせ先に逝くんだから、無理に帰ってこなくてもいいんだよ。 親のために生き方変えるんじゃないよ。今度、みかん送るからな、いっぱい送るからな」 って九州の方の言葉で語りかける歌なんだ。 サム君、歌詞はわかりやすくなってるにしろ九州の方言なんて初めて聞いたろうに、ボロボロわんわん泣いてる。 歌が終わり落ち着かせると、サム君が話しだした。故郷に残してきたお父さんとお母さん思い出したんだって。 お母さん少し足が悪くて、一人っ子だから尚更心配で、日本に行くかどうかすごく迷ってたけど、私達は大丈夫!って、二人とも笑って送り出してくれたって。 手紙には、早く帰ってきてねとか早く会いたいとか一言もなくて、ただサム君を案じる言葉と、明るく元気づける言葉だけを書いてくれるんだって。 続きを読む