139: 水先案名無い人 04/10/26 22:44:34 ID:FRiRJDW+ 町一番の物知りおじいさんは毎日ベンチでひなたぼっこ ある日男の子がやってきてたずねました 「おじいさん、どうして風船は上へ上へ飛んでいくの?」 「それはな、中に『空のこども』がいっぱいつまっておるからだよ」 だから風船は――お空に帰ろう帰ろうとするんだ 次の日も男の子はやってきました、手には割れてしまった風船を持って 「ねえ、おじいさん中の『空のこども』はどこにいっちゃったのかなぁ?」 「風船が割れてしまうと『空のこども』はあちこちにちらばって―― どんどんどんどんちらばって――地球をぐるりをつつむぐらいにちらばっとるよ 気をつけて見てごらん、帽子が飛ばされたり、木の葉が舞ったり、砂漠の砂が舞い上がったり ぜんぶ、お空に帰りたがってる『空のこども』のしわざだよ」 次の年――男の子はお母さんを病気でなくしてしまいました 男の子は一人でベンチにやってきました 「おじいさん、お母さんはどこに行ったの?」 おじいさんはしばらく黙り込んでいましたが、やがて静かに話し出しました 続きを読む