1 : VIPに... - 2014/05/05 19:09:31.88 wBxpcr1o0 1/11 私の朝は、一日の予定を新堂から聞く事で始まる。 この身体は、既に私の物では無い。 水瀬グループという巨大な組織の長としての膨大な責務を果たす為に、私は生きている。 「旦那様、今日は経団連の米川会長と昼食会、午後3時からは水瀬重工の定例役員会と新ラインの視察でございます」 恭しくスケジュールを伝える新堂の姿も、もう何年と変わっていない。 「ふむ、午前中は予定なし、か。珍しい事もある」 「旦那様は、殆どこちらにいらっしゃらないですからな。たまにはゆっくり、伊織お嬢様と話でも」 「それだがな、新堂」 「は?」 「伊織が、アイドルをやりたいと言い出した」 「なんと…」 「…簡単に言ってしまえば、私や兄達に認めて欲しいから。そう言っていたよ」 「…」 「お嬢様も、旦那様に似て自主独立のお心が強いですな」 「…しかし、まさかアイドルとはな」 「ええ…奥様は、ご存知なのですか?」 「明日には帰ってくるのだろう?その時に話すさ…どこを受けるつもりかな」 「は、既に幾つかのの芸能事務所のオーディションに応募はしているようですが」 「芳しくない、か?」 「はい」 我が娘だからというわけではないが、伊織は可愛らしい見た目だし、それなりに猫を被ることも知っている。 だが、それだけではダメだ。 人を惹きつける力があるか無いか。 それは企業の社長だってそうだ。 「さて…どうしたものか」 水瀬の力を持ってすれば、大手事務所に入らせることも可能だ。 だがそれは、伊織の最も望まない方法だろうし、私も同感だ。 「…そうだ、思い出した。新堂、午前のスケジュールは無いのだな?」 「はい」 「一つ、用事ができた。車を出せ」 元スレ 伊織父「娘はアイドル」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399284571/ 続きを読む