TBS系「月曜名作劇場」が3月に終了し、地上波の民放から2時間ドラマのレギュラー放送枠がすべて消滅してしまった。 かつては視聴率が20%超の作品が続出し、各局が競って制作していたが、いつしか風前のともしびとなり、落ちないはずの崖から落ちてしまった。 なぜ、人気が衰えたのか。2時間ドラマは平成とともに去りゆくのか-。 二時間ドラマ枠は一九七七年開始のテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」が先駆けで、八〇年代に各局が参入して黄金期を迎えた。 サスペンスや観光地ロケが特徴で、テレ朝系では市原悦子主演の「家政婦は見た!」シリーズが視聴率30%を超える回も出た。 「2時間ドラマ40年の軌跡」の著書がある阪南大の大野茂教授(放送文化論)は「旅、グルメ、お色気と大衆の好きなものが詰まっていた」と人気の理由を解説し、 「サスペンスドラマの体裁をとった情報番組のようなところがあった」ともいう。 例えば「熟年離婚」が世間の話題になれば、それをテーマにした殺人事件に仕立てたり、宅配便が普及すればトリックに使ったり。 その時代の話題や流行をいち早く取り入れ、当時の二十代、三十代の視聴者に人気を博した。 しかし、バブル期にトレンディードラマが先端を行くようになると、二時間ドラマの枠は縮小気味に。 新しい層を取り込むことができないまま、視聴者が高齢化していった。人気要素の一つだったお色気シーンも社会に許容されなくなっていった。 月曜名作劇場の終了の理由を、TBS幹部は「地上波では一定の役割を終えた」と説明する。 かつての作品は現在、BSやCS局で放送され、懐かしむ中高年らに支持されている。 大野教授は「一つの時代が終わり、ジャンルとしては消えていくのかもしれない」と指摘する一方で、 「二時間ドラマのDNAは形を変えて引き継がれていくのではないか」と可能性も口にする。 米国のように、ドラマの背景をCGに置き換えるなどして「ロケのコストが抑えられれば、復活もあるかもしれない」と話している。 150本以上の作品に出演し「2時間ドラマの新女王」との呼び声が高い中山忍(46)に聞いた。 -2時間ドラマの地上波レギュラー枠が消えた。 演技を専門に学んだことがない私に、水谷豊さんはじめベテランの方々が基礎から教えてくれ、学校のような場所でした。 寂しいけれど、時代の流れで仕方ないと受け止めています。 -地方の観光地ロケも多かったのでは? 行ってない都道府県はないと思います。観光客が見守る中でお芝居したり、京都のお寺とかでは時間制限があったりとプレッシャーもありましたが、 制限の中でやっていく面白さもありました。 -あらためて、2時間ドラマの魅力とは? 特に犯人役の時は、2時間の中に一人の女の一生のようなものがぎゅっと濃厚に詰まっていて「面白いな」って思いながら演じていました。 シリーズもので、1年か半年に1回、いつもの世界観のいつもの人たちのドラマを見るっていうのは、面白いと思うんですけどね。 好きな人はいるので、何かしらの形でずっと続いていったらいいのにな。 https://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2019041302000174.html 続きを読む