中絶という概念や行為ほど、多くの文化で扱いが違うものはありません。基本的には良くないこととされながらも法律的に保証されていることも多い自由です。物議をかもしながら。 オススメ記事 西側諸国における性の自由は、1つのジェンダー革命とも称され、表面的には西洋の現代文明の誇りの1つとされています。もっとも、この革命の最大の犠牲者は、成人の女性や未成年の女子です。シングルマザーや孤児の発生をはじめ、エイズなどの性病、人々の間の感情面での動揺、そして何よりも重大な現象として見られる大々的な中絶行為といったものは、こうした自由の産物であり、西側諸国の女性の心と体に最大の被害を及ぼしています。 人工妊娠中絶は、女性の子宮に宿った胎児を除去することで、妊娠を停止することであり、外科手術あるいは薬剤の服用によって行われます。中絶は多くの場合、妊娠後間もない時期、または胎児が母体外で生き延びられる状態にまで成長していないうちに実施されます。 西洋社会では大抵、中絶は人権や自由のシンボルとみなされ、事実上1つの選択肢となっています。イランの女性問題の専門家であるアーホンダーン博士は、次のように語っています。 「中絶は、様々な社会で物議をかもしている問題の1つであり、この問題に対してはそれぞれの社会で多様な対応がなされている。神の啓示宗教の見解では、中絶は罪とされ、それには独自の処罰が定められている。一部の国では、中絶は罪ではなく、まったく普通の行為とみなされる。だが、中絶はしかるべき悪影響を伴っており、西側諸国の社会でこの問題が多発していることは、西側や先進国でのモラルの欠如、正式な婚姻なしでの妊娠、家庭を持つ事からの逃避といった現象が広まっていることを示すものである」 「宗教を持たない世俗的な人間が、人間中心主義に基づいて自らを世界の中心とみなしていることから、自分と自分以外の人間との関係、さらには自分と動植物などの自然との関係を定義する際にも、所有者と所有される側という関係で捉える。このため、世俗的な人は人間の子供をその子供の親の所有物とみなすことから、妊娠中の胎児の中絶も母親の権利とみなしている」 中絶は、19世紀中盤までは胎児に魂が宿っていないうちに、すなわち母親が胎動を感じないうちに行う場合のみ合法とされていました。中絶への反対の理由としては、これが母親に多大な危険をもたらすことにあります。 via: 西洋におけるジェンダー革命の結果としての中絶 – Pars Today 中絶はダメージになる なんていうか、そりゃそうだろうという感想しか持つことが出来ません。まるで女性の権利を見せびらかすために中絶していると考えているかのような印象を受ける文章ですが、そんな人はいないでしょう。わざわざ妊娠して中絶することで自分の権利を主張したい人などいない。妊娠してしまってから、でも自分の人生を考えた時にあらゆる選択肢が取れるようになることが権利を持つということです。 権利はそのように見せびらかすために使うものではなく、もっと人生に寄り添って、身近なレベルで、自分の意思決定をどうするかというときに、自分で自分のことを決める自由や裁量の中にあります。人の人生の選択に、むしろなんで口を出せると思っているのかが疑問です。 だってそうでしょう。毎日私達はたくさんの選択をしています。どのコンビニに寄るか、何時の電車にのるか、どの会社に入るか、どのテレビを見るか、そんな毎日の意思決定の中に「誰か他の人の意思」が入ることは面倒で鬱陶しいものです。実家から出たいと思っている人の多くが、家族が自分の意思決定に何らか影響する権利や実力があると思っていることへの反発ではありませんか。 人のことに口を出すな、と思った経験がある人ならばみな中絶の権利を認めるべきでしょう。それはその人個人の問題だからです。出産は国家レベルの問題だというのなら、あなたは普段から国家のためになることばかりしているのですか。税金はたくさん払うとうれしいですか。出来るだけお金を稼いで税金を収めたいと思いますか。思っていないなら国家を言い訳にしないでください。 宗教的な理由、は思考停止 また、宗教的な理由が許されるのは宗教的な理由がそうだと認識されないでいられる間だけでしょう。つまり、宗教的な理由とは本質的にはそうだと認識できないはずなんです。宗教は生活に根ざしており、文化的な価値観の基盤になっており、その善悪の判断を宗教によっていると普段感じる人がいないほどその社会に宗教が浸透しているときだけ宗教が理由になります。 目に見えない空気のように、人々が全員色付きのメガネで世界を見ているようなものですから、当たり前に善悪の判断が行われます。しかし宗教的な理由だからだ、と説明するときそこには既にほころびがあるのです。なぜならばその当事者はその宗教や価値観を疑っており、疑っても良い状態になっているからです。宗教は無意識的に背景的に信じられている内が華。いまの欧州を見たらわかることでしょう。 なんにせよ、中絶は母子ともにダメージが大きいからしないべきだ、が通るならタバコも酒もダメだし運動不足も睡眠不足も駄目です。個人の自由を認めるというのはそういうことです。