事前に危険性がわかっていたのに防ぐことのできなかったパリの凶行。しかし一体どのように危険性を予見出来ていたのでしょうか。 オススメ記事 【5月13日 AFP】フランスの首都パリ中心部で発生したナイフ襲撃事件の容疑者は、仏警察の対テロ要注意人物リストに載っている男だったことが分かった。捜査関係者が13日、AFPに明らかにした。 事件は12日夜、オペラ座付近の繁華街で男が5人をナイフで襲い、1人が死亡、4人が負傷したもの。容疑者の男は警察に射殺された。 治安を脅かす可能性がある過激思想を持った人物の情報を掲載した仏警察のリスト「Sファイル」(「S」はセキュリティの頭文字)によると、容疑者の男は1997年にロシア南部チェチェン(Chechnya)共和国で生まれたフランス人だが、犯罪歴はなかった。警察は男の両親の身柄を拘束しているという。男がフランスに入国した時期について警察は明らかにしていない。 「Sファイル」には、潜在的危険性がある宗教的過激派を含む過激思想に走る可能性のある人物の他に、左翼や極右活動家らの名前も載っている。全員ではないが、「Sファイル」に情報が掲載された人物たちの多くはイスラム過激派などによる襲撃に関与している。 「Sファイル」とは別に、テロの脅威があると断定された人物に特化したファイル「FSPRT」も存在する。FSPRTには約2万人が掲載されており、うち約半数が警察の監視下にあるという。 via: 仏パリのナイフ襲撃の容疑者、警察の対テロ要注意人物だった 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News 危険人物リストは役に立たないのか? このような危険人物リストがあるコト自体にはなんの驚きもありませんが、しかし事前にマークしていたにも関わらずその凶行をとめることができなかったのであればそれにどのくらいの価値があるのかはわかりませんね。一体なぜこのようなことになってしまっているのでしょうか。そもそもどうやってこのリストを作っているのでしょうか。 危険人物リストというのは色んな作られ方をしますが、その1つが「危険人物ネットワークに関わっているかどうか」というのがあります。既存のネットワークにはよく出てくる登場人物というのがおり、その人を中心とした怪しげなネットワークが存在する。そのネットワーク自体は前々から監視しており、そこに新たにやってきた人を潜在的な危険人物とみなすというわけです。 実際、フランスのテロなどの場合は、つい最近までそんなに熱心でもなかったイスラム教徒が、ある過激派のところに出入りするようになってから急にインターネットなどでも過激な発言をするようになり、実際に凶行に及ぶというケースが散見されます。ネットワークに所属した時点で危険人物だと特定することはある程度のレベルで可能なのです。 大規模テロ以外は止められない しかし、今回のような事件は止めることができませんでした。なぜでしょうか? それはあくまでこのような監視ネットワークが見ているのは、大規模な犯罪を予兆するような形で用いられるからでしょう。多くの重火器を購入したり、輸出入をしたり、その売買の情報などがネットなどを介して見つかった場合は即座に捕まえる事ができます。 今回のようにナイフや包丁で凶行に及ぶようなパターンは事前に予想することがほとんど出来ません。凶器を手に入れることも非常に簡単です。となるともう止めようがない。明らかに危険な人物であったとしても、その犯罪の前に予期的に捕まえてしまうことは人道に反することだからです。しかし、最近話題になったサイコパスといったアニメでは、まさにそのような社会が描かれています。 恐らくこの人は今後犯罪に走るだろうから事前につかまえてしまおう。この論理がまかりとおれば、10歳くらいの幼い少年が今後いずれフランス社会を憎むことになるから事前につかまえてしまおうというロジックが成り立つのも時間の問題です。だからそれは許されないことなのですが、しかし要注意人物リストに乗っていてもこのような犯行が行えてしまうこと自体は、非常に大きな、暗い陰を落とす問題ですね。どうなるのかな、これからの欧州は。