様々な地域の独自性や多様性を尊びながら、同時に国内の独立については否定的な欧州。その矛盾した態度は一体これからどうなっていくのでしょうか。 オススメ記事 独裁判所、プチデモン氏の保釈認める 反逆容疑での送還拒否 2018年4月6日 4:26 発信地:ベルリン/ドイツ ドイツ北部ノイミュンスターの勾留施設のフェンスに取り付けられた、スペイン北部カタルーニャ自治州のカルレス・プチデモン前州首相の顔写真(2018年3月25日撮影)。(c)AFP PHOTO / Axel Heimken 【4月6日 AFP】スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立運動をめぐり、先月にドイツで逮捕された同州のカルレス・プチデモン(Carles Puigdemont)前州首相について、独裁判所は5日、スペインが要請している反逆容疑での本国送還を拒否し、他のより軽い容疑について審理が行われる間の保釈を認める判断を下した。 裁判所は声明で、昨年10月のカタルーニャ州独立をめぐる住民投票に際して発生した暴力行為にプチデモン氏は直接関わらなかったことから、同氏の行動はドイツ法では処罰の対象とならず、反逆容疑での送還は違法との見解を示した。一方、公金不正使用の容疑での送還についてはまだ可能性はあると説明。ただし、今後数日から数週間のうちに「さらなる事実が明らかにされ、情報が集まる必要がある」とした。だが当面の間、プチデモン氏は7万5000ユーロ(約990万円)の保釈金支払いなどを条件に保釈が認められた。 プチデモン氏は、スペイン最高裁が出した国際逮捕状に基づき、先月25日からドイツ北部ノイミュンスター(Neumuenster)で身柄を拘束されている。保釈の見通しは今のところ立っていないが、プチデモン氏の弁護士は独DPA通信に対し、できるだけ早期に保釈条件を満たす意向を表明。一方で、5日夜の保釈は不可能かもしれないと述べた。(c)AFP via: 独裁判所、プチデモン氏の保釈認める 反逆容疑での送還拒否 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News 欧州の欺瞞 完全に揺れてますね、欧州。自由平等を大事にする欧州、世界レベルの様々な人権的問題についても積極的に動き、最近では難民や移民の受け入れ問題でパニックになっている欧州。自分たちが掲げている理想に苦しめられている印象も強いです。そもそも国家という大きな枠組みを越えて協働すること自体が非常に難易度が高いことである上、そもそもその構成要素である国家自体も決して一枚岩ではないということがよくわかるニュースです。 欧州連合は、共有する文化がたくさんあって、だからこそ団結出来るという理由でトルコの加入を長年拒否しています。曰く、キリスト教的文化を持っていることが大事だとか、もっとわかりやすく言えば【白人の国】であることが大事だとか、ラテン・ギリシャ的歴史を共有しているかといったことが重要だとしていますが、もはやこれはどんどん無茶のある主張になってきています。 なぜならば、例えばフランスでは宗教を信じている若者が既に2割を切っていますし、年々その割合は減少し続け、逆に移民や難民のムスリムの数は増えています。子どもを生む数もムスリムの方が多いため、キリスト教を信じる若者は減り、ムスリムが数として増えてきているのです。この流れはこのまま止まらないでしょう。 そうすると、そもそも欧州がラテンやギリシャの文化を共有しているとも言い難くなってくるわけですよね。そしてそういう流れー標準化、共通化、万民化-のようなものに対抗するのが地域や民族による独立運動です。曰く「自分たちの文化や伝統は独立のもので、それを私達は守らなくてはならない」という考え方は必然移民には反対だし、そもそも同じ国家の中にいること自体が違和感です。スペインではなく、カタルーニャなのだ、と言いたいわけです。 崩壊する理念 つまり、欧州連合というのはまさに「欧州という枠組み」を持つことによって国家性を少なからず失ったわけです。一昔前はフランスとドイツは圧倒的対抗国だったのに、それを乗り越えて近い存在、同じカテゴリに入ろうとするわけですから、これまでの感覚がぶっ壊れるのも当然。いわゆる国民ではなく市民-この場合は欧州市民-というアイデンティティを持てる人もいれば、あくまで◎◎人だと言いはる人も、更には特定の地域のカタルーニャ人だとか、アルザス人だとかナポリ人だとか言いたい人もいるわけです。 国家の中での対立ならまだしも、今となっては国家という枠組みすらもなくなってしまうからこそ、民族や文化に改めてアイデンティティを求めるしかなくなっているのでしょう。とはいえ、国家という枠組みは依然残っているから反逆罪だと言われてしまうプチデモン氏。人はそんなに大きな集団の中で満足出来るものなのでしょうか。