人間の能力を遥かに超えた機能を持った義手もいまなら作ることが出来る。障害を持った人とそうでない人、という区別が徐々に無意味になるのかもしれない。 オススメ記事 義手を着けた「サイボーグドラマー」–ハイテク義手の開発とライブに向け支援募集 佐藤信彦2018年04月21日 07時00分 cnet japan パラリンピックなどを見ると、何らかの身体障がいを持っていてもテクノロジの力で体の不自由を補えば活躍の場を広げられる、と実感する。音楽の世界でも、目が見えなかったり片腕が使えなかったりする人がピアノで素晴らしい演奏を披露するなど、人間の可能性に限界はないと思う。 今回は、右腕のないドラマーに専用の演奏用義手を提供するプロジェクト「The Cyborg Drummer」を紹介しよう。現在クラウドファンディングサービス「Kickstarter」で支援募集中。 義手を着けた「サイボーグドラマー」(出典:Kickstarter) Jason Barnes氏は、プロのドラマーを目指していたのだが、事故に遭遇。命を救うため右腕を切断するという決断が下された。命は助かったものの、ドラマーの命である右腕を失ってしまったBarnes氏。しかし、夢を諦めなかった。退院後すぐに、残された腕の先にドラム用スティックをテープで固定して練習を再開。 これにジョージア工科大学が協力し、Barnes氏にドラム演奏用の義手を開発した。義手といっても腕にスティックを固定する単純なものでなく、取り付けた2本のスティックをモーターで細かく制御できる高度な身体支援デバイスだ。生身の人間には不可能な速度で叩くことなどが可能なため、開発チームは装着したBarnes氏をサイボーグドラマーと呼んでいる。 生身の人間には不可能な速度で叩ける(出典:Kickstarter) ただし、開発した試作品は研究目的で製作したデバイスであり、Barnes氏が自由に使うことや、演奏旅行に持って行くことが制度上できないそうだ。さらに、使うには2台のコンピュータと技術面をサポートする操作チームが必要なので、実用的でない。 そこで、Barnes氏専用の義手を開発しようと、クラウドファンディングで支援キャンペーンを始めた。キャンペーンでは、義手製作に必要な7万ドルに加え、支援者にリターンとして提供するビデオの撮影やライブの開催に使う2万ドルを募っている。 支援は5ドルから受け付けている。例えば、10ドルだと新作アルバムのダウンロード、25ドルだとさらにビデオのダウンロードができる。50ドルだとライブのチケットがもらえて、2000ドルだとプロデューサーとしてクレジットされるとのこと。 Kickstarterでの支援受付期間は日本時間5月23日まで。目標金額の9万ドル(約965万円)に対し、記事執筆時点(日本時間4月19日17時)で集めた資金はまだ1205ドル(約12万9000円)。キャンペーン期間はあと34日ある。 なお、ジョージア工科大学はピアノを弾けるほど細かな制御が可能な義手もBarnes氏向けに開発した。 障害は社会が創る このニュースを見ると本当に思い知らされるのは、障害というのは社会が作るという考え方です。つまるところ、メガネがなければ現代日本人の半数近くは障害を持っていると言えるわけです。目が見えなくてぼやけているので文字が読めなかったり人とぶつかってしまったり、手元の作業が苦手だったりするわけですから。テキストが読めないと今の時代働くことは難しいでしょう。 しかし、メガネというテクノロジーが爆発的に普及した現代、視力が低いということが大きな問題になっていないのは明確です。それと同じように、様々な障害も社会がきちんと対応すれば問題ではなくなる。それどころか、更なるテクノロジーの発達によっていわゆる障害を持っていない人よりも更に高い能力を発揮することも可能になるでしょう。 今回の事例でも、もはや人間が出来ないペースでドラムを叩くことも可能になっているようです。「人間の限界が見たいのであって機械を使ったyずるいぜ」と考える人もいるかと思いますが、そういう人はエレキギターを使うのもエフェクターを使うのも辞めるべきかもしれません。キックドラムを叩くキックだって技術の発達と共に昔より遥かに軽くなったでしょうし、技術の恩恵は受け続けているわけですから。 障害者とそうでない人、という区分は消えていく? もしかしたら、近い将来いわゆる身体障害を持った人はかなりのスピードで社会適合していくものと思われます。メガネが一般に広く用いられるようになり、店もそこらじゅうにあってどこでも自分用のものを作れるようになったことと同じように、手や足などの障害に適したアイテムが気軽に購入出来る時代がやってくるでしょう。 精神的な障害、知的な障害に関してはいましばらく時間が掛かるでしょうが、しかしそれもテクノロジーの発展によって解決する可能性も十分あるでしょう。遺伝的な要因が原因だとするなら、それを治療することすらこれから出来るようになると言われています。そうすればもはや、障害を持っているとか持っていないということはどんどんどうでもよくなっていくでしょう。 そのときにこそ、真の平等や平和がやってくるのかもしれません。もちろんまだまだそういう時代はやってこないので、それまでそういう技術の発展を応援し続けることはとても重要なことなのは間違いありません。