誰もが使う便利なサービスだからこそ、出来るだけ透明性を高くしなくては簡単に信頼を失いかねない。Facebookはいま大きな岐路に立っている。 オススメ記事 [サンフランシスコ 21日 ロイター] – 米フェイスブック<FB.O>の個人情報を英データ分析企業が不正利用していた問題を受け、インターネット業界は大手プラットフォーマーから小規模なソフトウエア開発企業に至るまで、顧客情報の共有方法を点検する必要に迫られそうだ。 英企業ケンブリッジ・アナリティカがフェイスブックの顧客50000万人のデータをトランプ米大統領の選挙戦に不正利用していた問題は、欧米の議員が捜査を求める事態に発展した。 規制当局が対策に乗り出す可能性もあり、グーグルの親会社アルファベット<GOOGL.O>やツイッター<TWTR.N>、ウーバー・テクノロジーズ、マイクロソフト<MSFT.O>、リンクトインその他、顧客データを外部開発業者に利用させている多くの企業に影響が及びそうだ。 現在のインターネットの核心を成すのは、フェイスブックやグーグルといったプラットフォームと、第三者であるサービス企業の相互連結だ。これによって利用者は、ニュースサイトで見た記事を即座にフェイスブックに上げたり、グーグルのアカウントを使って買い物アプリにログインすることが可能になっている。 この情報共有に用いられる技術がAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)。フェイスブックの事件によって、ネット産業の監視や安全保護をめぐる議論の最前線にAPIが浮上してきた。制裁の可能性を恐れ、企業は既に対策に乗り出している。 GGVキャピタルのジェーソン・コスタ氏は「すべての企業が第三者のデータアクセスについて、単なる自由放任ではなくしっかりした対策を迫られるだろう。多くの企業は『当社は単なるプラットフォームであり、ユーザーの利用法には責任を負いかねます』という表現を用いているが、もうそれが通用する時代ではなくなった」と説明した。 via: アングル:FB問題、ネット業界に個人情報共有の厳格化迫る SNSの巨人、揺らぐ 今回の事件は非常に大きなものになっていますね。海外の大手メディアもこぞって取り上げています。これには大きく3つほどの要因があると思います。1つは、これまでも語られてきたが今後ますます重要になってくる「プライバシー、個人情報」に関わる問題であるということ。2つ目はそれをやった会社がSNSの巨人であるFacebookであるということ。そして3つ目が、その企業が大統領選挙の不正にも利用されてしまったことにあります。 まず1つ目のプライバシーの問題ですが、これは決して最近生まれた概念ではありません。5年10年前にも欧州で「忘れられる権利」などが議論されていました。望ましくない自分の過去について検索されても非表示になるようにグーグルなどの検索サイトについて要求する権利です。これが生まれた理由は、もしインターネットで自分の情報が公開されたらもう二度と取り返しがつかなくなってしまうという特徴にあります。コピーが容易で、拡散が早くて、コンテンツのオーナーがその拡散をコントロールできないからです。 そして2つ目の理由ですが、Facebookが今回の問題をやらかしたことは非常に重要な部分です。なぜならば同社は優れたエンジニアを何千人と有しており、このようなセキュリティ問題についても十分な対策がされている-はずだと少なくとも多くの人が思っていた-のですから。ここが破られてしまうということは他の多くのSNSも恐らく十分に個人情報が保護されていないことがわかるわけです。 更に3つ目としては、アメリカの大統領選挙の不正に利用されてしまったという悪名につづいてのニュースだったからだと言えるでしょう。Facebookは便利だけれども社会的に悪用されることもあるのだなという印象が持たれた直後に、実際に個人情報が抜き取られて本人の知らないところで売買されていたというのですからこれは問題です。 でも、使うでしょ? この3つの要因から、いまFacebookは大ブーイングを受けているわけです。しかしながら、果たしてこれを機にFacebookを使わなくなる人というのはいるのでしょうか。あるいは、今回Facebookを批判している多くの企業は果たしてどれくらいセキュリティがしっかりしているのでしょうか。Facebookに求められる水準の技術を持っている会社が多いとは思えません。 それにユーザーの方も色々文句は言いつつも、利用をいきなり辞めるということはありません。Facebookは信頼を失う前にこれまで以上にセキュリティに気をつける必要がありますが、しかし同時に、ユーザーが不便になったと思っても困ります。ユーザーというのはわがままなので、セキュリティは硬くしてほしいが不便にはしてほしくないのです。Facebookがこれから取り組む一番の難題はここにあるでしょう。