まさかアメリカが石油を自国で手に入れると考えていた人たちは多くなかったはずです。激戦するエネルギー周りの状況、中東国家のこれからはどうなるのでしょうか。 オススメ記事 [シンガポール 9日 ロイター] – シェール革命によって石油輸出を急拡大する米国は、世界の石油勢力図を根本的に塗り替えつつあるようだ。 まず、米国の原油輸入が急減したことで、OPEC(石油輸出国機構)などの産油国が長年にわたって頼りにしてきた、この世界最大の市場が縮小してしまった。 そして今、ほんの2年前まで政府が禁止していた米国産石油輸出が膨らんでおり、OPECが優位性を持つ「最後の牙城」のアジアにおいても、米国産石油による挑戦に対峙しなければならなくなった。 米国産石油の中国向け輸出は増大しており、この世界の2大国のあいだに、2016年までは存在すらしていなかった、エネルギーという貿易分野が生まれつつある。対中貿易赤字の縮小に努める米国政府にとっては朗報だ。 こうした大きな変化は、最近発表されたデータにも反映されている。米国は今や、最大の石油輸出国サウジアラビアよりも多くの石油を生産しており、今年末までには生産量においても首位の座をロシアから奪う可能性が高い。 この成長には、米エネルギー情報局(EIA)も不意を突かれた格好だ。EIAは今月に入り、2018年原油生産量予測を1059万バレル/日に引上げた。わずか1週前に出した前回予測よりも30万バレル/日も多い数値だ。 2016年に米国が石油輸出を開始した当時は、最初の輸出先は自由貿易協定のパートナーである韓国と日本だった。中国が主要な買い手になると予想する者はほとんどいなかった。 トムソンロイターの金融端末アイコンによるデータでは、2016年以前はゼロだった米国産原油の中国向け輸出は、今年1月には過去最高の40万バレル/日、金額にして約10億ドルに達した。 これに加えて、1月には50万トン、約3億ドル相当の液化天然ガス(LNG)が米国から中国に向けて出荷されている。 via ロイター 焦点:米シェール革命が塗り替える世界の「石油勢力図」 シェール革命 皆さんはシェール革命という言葉をご存知でしょうか。簡単に言うと画期的な技術革新によって、これまでエネルギーを取り出せなかったところから莫大なエネルギーを取り出すことに成功したということです。アメリカはそれによって、これまで大部分を輸入によって賄っていた部分を自前で生産出来るようになり、むしろ輸出国としての顔すら見せ始めています。これは非常に大きな変化です。 アメリカは長いこと中東情勢に深い関心を持ちそこに介入を続けてきましたがその理由の一つがまぎれもなく石油系企業との関係がありました。それはアメリカが経済的に発達し続けるための重要な生命線だったのです。ときには国際法に反するようなことも平然とやりながらそのコネクションを維持してきたアメリカが今回のエネルギー革命で今後どのような外交姿勢の変更があるかというのは注目に値するところです。 しかしそれと同じくらい、これまで石油産出国という圧倒的なアドバンテージを持っていた中東のオイルマネー国家がこれからどのような政策を取っていくのかというところも非常に面白いところです。 中東国家の戦略 いま中東の中でも石油産出国として莫大な富を獲得している多くの国が、オイルマネー以外の様々なビジネスに取り組んでいることはご存知でしょうか。例えばルーブル美術館の世界初の分館を持つ国家もあります。文化を押し出していくような国家戦略もあるのですね。他にも最近サウジアラビアが急速な政情変化がありましたが、そこでは若い王子が実権を掌握してこれまで国家企業として動かしていた大企業を上場させて株式会社化するなどもしています。 しかしさらに面白いのが、いまエネルギーが変わっているのはシェールガスだけではないことです。2020年頃には自然エネルギーの方が石油エネルギーなどよりも安く作れるようになるというのです。これからエネルギーは環境に優しくかつ安いものが主流となっていきます。持続可能な社会につながる重要な技術革命です。そんな中中東国家の中にはスマートシティ計画を進め、全てのエネルギーを持続可能なエネルギーから賄うような都市を作り、最先端のエネルギー関係の研究が出来るような施設を作って世界中から企業や研究者を誘致しています。 石油の相対的な価値が下がることを十分予期した上で、いま中東国家は激変を繰り返しています。シリア問題など国際的な課題を抱えながらもこれからますます発展していくことでしょう。