「下流大学は門前払い」インターンの実態

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プレジデントオンライン 採用と直結したインターンシップを多くの企業が導入し、選考が一段と早まっている。本来、こうした短期間の就業体験は多くの学生に門戸を開く狙いがあったが、実際は一流大学以外の学生は、門前払いの状態。なぜ、そういう結果になっているのか。人事部の採用担当者に匿名で話を聞いた。■8000社以上がインターンシップを実施している2018年卒学生の大手企業の内定出しがほぼ終了し、早くも19年卒採用に向けた8月のインターンシップの受付が始まっている。18年卒の採用活動の最大の特徴は、採用と直結したインターンシップを多くの企業が導入し、選考が一段と早まったことだった。経団連は3月1日を広報活動、6月1日を選考活動解禁日とした。ところが、就職情報サイトのディスコの6月1日の就職内定率(内々定を含む)は63.4%。リクルートキャリア調査でも61.9%と高く、前年同月の51.3%と比べて10.6ポイントも上昇している。さらにマイナビの6月15日時点では67.7%。面接解禁からわずか2週間後に約7割もの内定者が出ている。18年卒向けのインターンシップ実施企業はリクナビ、マイナビ、キャリタス(日経ナビ)の主要3社のインターンシップサイトに掲載された数だけでも8588社(サイト間の重複含む)に上り、前年の17年卒(6104社)の1.4倍に増加している。実施時期は昨年の8月が最も多く4947社。次いで多いのが9月、翌年の9月という順だ。またインターンシップの期間は「1日間」が半数以上の58%の企業、「1週間程度」が27%、「2週間程度」が14%だった(マイナビ調査)。1日限定の「1dayインターンシップ」が急増しているのも特色だ。▼インターンシップが増えた経緯とは?なぜインターンシップが増えたのか。きっかけは、2年前にある。経団連が16年卒学生の広報解禁が3月1日、選考解禁が8月1日に後ろ倒しになったことだ。食品会社の人事部長は当時をこう語る。「後ろ倒しになったことで前半が暇になり、少しでも採用に結びつけようという思いで15年の秋にインターンシップの実施に踏み切った。同業他社も追随して翌年の2月に1〜2日のインターンシップを実施するところもあった。学生と早く接触し、会社と仕事を知ってもらい、互いのマッチング度を高めるにはインターンシップが有効との確信を得た」その流れは、翌年に選考解禁が8月から6月に変更されても変わらなかった。今では大学3年生の夏、秋、冬にかけて毎月のようにインターンシップが実施されている。 言うまでもなく、経団連の指針ではインターンシップを通して取得した学生情報を広報活動や採用活動に使用してはならないと明示している。国も禁止の“お触れ”を出している。今年6月に文部科学省の「インターンシップの推進等に関する調査研究協力者会議」が出した「議論のとりまとめ」のなかでも、あらためてインターンシップを就職・採用活動に利用しないことを確認している。しかし、実際はそうしたルールは半ば無視されている状態だ。「採用に結びつかないインターンシップはありえない。就業体験を通じて学生と企業がお互いにミスマッチを防ぐことに意義がある」(前出・人事部長)こうした声に代表されるように採用直結型インターンシップが主流になっている。■大手商社インターン募集50人枠に3000人殺到一方、大学や学生はそうした“流れ”を受け入れざるをえない。サービス業の人事担当者は次のように指摘する。「大学のキャリアセンターもインターンシップへの参加を呼びかけているし、学生も就活はインターンシップから始まると意識している。企業は学生を早く確保したいという思いがあり、大学や学生はインターンシップに参加すれば別ルートで選考してもらえるという期待がある。両者の思惑の中でインターンシップ採用が動いている」もちろんインターンシップに参加しただけで必ずしも内定につながるわけではない。にもかかわらず、人気企業に学生が集中し、インターンシップに参加するだけでもハードルが高くなる。驚くべき事実がある。学生は就活情報サイトのインターンシップサイトを通じてエントリーし、選考を経て参加の可否が決まるのだが、ある大手総合商社は50人の募集に3000人が応募するほど高い競争率(60倍)なのだという。▼大企業や一流企業のインターンは一流大以外は門前払いじつはインターンシップの参加の選考で“大学フィルター”をかけている企業も少なくない。かつて広報解禁後の企業説明会では企業が指定した大学の学生を優先して参加資格を与え、席に余裕があるとその他の大学生に募集をかけるという大学フィルターが存在したが、今ではインターンシップでも使われている。今回、取材した金融業の人事担当者はその理由についてこう語る。「採用選考の前段階なので本当はたくさんの学生にインターンシップに参加してほしいのだが、担当スタッフの選任など各職場との調整など労力や手間もかかるのでどうしても受け入れ人数に限りがある。そうなると当社の採用実績校や優秀な学生が多い旧帝大などの国立大学や早慶の学生などに参加してもらいたいという気持ちになる。そして就業体験を通じてさらにじっくり観察することもできる」同社はエントリーした学生と面談し、参加の可否を決めているが、事前に対象大学を旧帝大クラスと早慶、GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)クラスで約7割、その他の大学3割に絞り込んで面談している。最終的な参加者はGMARCHクラス以上が9割を占めるという。■IT企業も東大、早慶、MARCH以上を選ぶ1dayインターンシップを開催したあるIT企業の人事担当者はこう話す。「インターンシップといっても企業説明会の延長のようなもの。日本経済や業界の状況、その中での自社の強みを紹介し、その後は動員した社員との交流会やグループワークなどを行った。学生はエントリーシートの大学名を参考に東大、東工大など国立大学や早慶、MARCHクラスの私立の理系や文系の学生を選んで実施した」しかし、それで終わりではない。動員した社員は参加した大学生のOB・OGをあえて選んでいた。OB・OGから学生の発言や行動など人物の特徴を聞いて順位付けし、後日、OB・OGが学生に個別に接触し、非オープンの1週間程度のインターンシップへの参加を呼びかけた。インターンシップの期間や形式は企業によって異なるが、参加枠に限りがあるとはいえ、なぜ大学名によって選考するのだろうか。IT企業の人事担当者はこう説明する。「もちろんいろんな大学にも広げたいが、採用実績校などの優秀な学生に他社よりも早く接触したいという思いがある。大学名で分けることに批判があることは承知しているが、旧帝大や早慶など偏差値の高い大学にいるということは少なくとも受験プロセスとして受かるための学習をしてきた人たち。学ぶ力、学習する力は社会人になっても再現性があると見ている。少なくとも他の大学生よりも勉強のやり方は知っている。だから大学フィルターは当社にとって優秀な人材を採る手段として有効だと思っている。もちろん入り口の目安であって、実際に採用するかどうかはじっくり吟味して決めている」▼偏差値上位校「以外」の学生には狭き門なるほど、それなりに筋は通っているように思える。だが、逆に言えばそれ以外の方法で学生の能力を見抜くスキルが少ないことを露呈している。インターンシップやOB・OGのリクルーターを使って採用手法が以前より多様化しているといっても、早い段階で学歴選考が進んでいる。それが現実なのだろう。売り手市場とはいえ、偏差値上位校以外の学生にとって大企業はますます狭き門になりつつあるのではという危惧を覚える。■“下流”の大学生「なぜ自分は大企業に入れないのですか」一方、大学生の企業選びの傾向はどうなっているか。多くの人事部関係者は、明らかに大企業志向が強まっていると語る。18年大卒の民間企業就職希望者数は42.3万人。1人あたりの求職者に対してどれだけの求人数があるかを示す求人倍率は1.78倍で、前年の1.74倍を若干超える(リクルートワークス研究所調査)。だが、従業員5000人以上の企業では0.39倍と前年の0.59倍より低下している。つまり、それだけ学生の大企業志向が強まっているということだ。建設関連企業の人事担当者はそうした今の状況をこう解説する。「私たちの世代を含めて以前は大学ヒエラルキーによって入れる企業が暗黙の了解で決まっているところがあった。この大学ならこのクラスの企業だとか。でも今の学生は明らかに入れない大学の学生でも大企業を目指している。それに対して大学側は何も言わない。学生も堂々と『大学フィルターをかけるのはおかしくないですか』とか、『どうして大企業に入れないのですか』とキャリアセンターに平気で聞いてくるが、キャリアセンターの職員も学生に『大企業は難しいし、受けるな』とも言えない。もちろん企業側も悪い。『人物本位で採用します、大学は関係ありません』と言っている。本音と建前が交錯し、大学生に理解を求めるのはなかなか難しい」▼中小企業と下流大学生は「かやの外」に置かれるしかし、大企業志向の学生も6月の選考時期がくれば現実を思い知らされることになる。そして、こうした由々しき事態により割を食っている存在がある。それは、学生の大企業志向とインターンシップが隆盛していることで結果的にかやの外に置かれている中小企業だ。大企業ほどお金と手間をかけたインターンシップなどの採用活動を開催する余裕もないために人材を確保できず、社内の「人手不足」感はかなり深刻だ。経団連のルールが形骸化し、インターンシップによって就活が早期化しているなか、「早期に内定が出る学生」と「大企業に入れないで就活が長期化する学生」、さらに「早期に人材を確保できる大企業」と「採れないで苦しむ中小企業」というように、学生も企業も勝ち組と負け組がより鮮明化しているのだ。

(出典 news.nicovideo.jp)


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