「過労死ライン」を超える教師たち…部活動で土日も合法的にタダ働き

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日刊SPA! 飲食店員は涙を流し、運送業界は悲鳴をあげる……昨今、人手不足や薄給による労働問題は枚挙にいとまがない。しかし、待遇は安定、人員も潤沢な業界からも「ウチもブラックだ」と怨嗟の声が聞こえているのだ……

◆法律で残業代はナシ。教師の熱心さが、やりがいの搾取に

 文科省の調査によれば、過労死ラインを超えた残業時間(月80時間超)を強いられている教師は小学校で34%、中学校で57%にものぼる。特に彼らの負担となっているのは部活動だ。野球部の顧問を務める片山隆さん(仮名・27歳)の毎日はまさに野球漬けだ。

「基本的に放課後は19時まで部活なので、定時に帰れる日はほぼないですね。毎週土日は9時から18時まで部活です。前日に雨が降ると、グラウンドが使えるか朝6時に確認しにいくこともあります」

 教師の本業である授業に差し支えるのは明らかで、顧問を返上したいのが彼の本音だ。だが、部活問題に取り組む教育関係者の団体「部活問題対策プロジェクト」の小阪成洋氏によれば、「NO」とは言えない空気があるという。

「ほかの教師に負担がかかるので、学校内では全員が部活動の顧問をやらないといけないという暗黙の了解がある。教師が部活顧問を拒否する権利は、事実上ありません」

 部活の指導に全教員が当たることを原則としている中学校の比率は、1996年には57%だったのに対し、2016年には87.5%と20年間で大幅に増加している(※)。もはや部活顧問は教員の業務の一部として組み込まれてしまったようだ。

 にもかかわらず、公立の小中学校の教員には「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)という法律が適用されており、「時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」と明確に定められている。つまり、合法的にタダ働きをさせられているのが現状なのだ。

 こうして教師たちの献身的な犠牲によって心身を鍛えた生徒たちはやがて学校を巣立っていく。だが、彼らを迎え入れるのは社会にとってプラスなのだろうか。今年7月に『ブラック部活動』を上梓する名古屋大学の教育学者・内田良准教授は、警鐘を鳴らす。

「そんな部活動の根性論を乗り切った生徒を採用したがる企業は多い。ブラック企業の働き方というのは、部活動を拠点に育っていると僕は考えています」

 部活以外にも民間企業では考えられないような労働慣行が教師の世界では蔓延している。

「特給法上、教師は定時で勤務が終わっていることになっているため、そもそも残業という概念がないんです。タイムカードで勤務時間を管理していないので、実際に教師たちは自分がどのぐらい残業をやっているのかもわからない。それなのに、教師たちは労務管理されていないことをなんとも思っていない。これは民間企業からすれば異常な事態ですよ」(内田氏)

 残業代も支払われない“無法地帯”でいつまでも働き続ける教師には、際限なく仕事が舞い込む。

「それでも教師たちは『子供たちのため』という何ものにも代え難いやりがいを持っているため、献身的に負担を受け入れてきました。言い換えれば世の中全体が教師に対して『やりがいの搾取』をしていたわけです」(同)

 ブラック労働から生み出された子供たちが、ブラック企業を支えていくとは、なんたる皮肉か。

<ブラック化する3要素>
・部活動の顧問の“義務化”
・労務管理がされていない
・やりがいの搾取

(※)’96年度は文部省(当時)、’16年度はスポーツ庁の部活動に関する調査より
― [教師・警察官・僧侶]のブラック労働が止まらない ―

(出典 news.nicovideo.jp)


<このニュースへのネットの反応>

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