リビアヤマネコ 画像は「Wikipedia」より引用 TOCANA 南極を除くすべての大陸を制覇した動物の一つ、ネコ。そのルーツは野生のヤマネコであるが、気むずかしく孤独に暮らすヤマネコがどのような経緯でイエネコ(飼い猫)へと変化したのか、その経緯にはいまだ謎も多い。だが今月、ネコの「家畜化」の謎を解き明かす新たな論文が発表されて話題となっている。 ■ネコと人間の長い歴史 話題の論文は今月19日にオンラインジャーナル「Nature Ecology & Evolution」で公開された。ベルギーとフランスの共同研究チームは、約9000年前から現代までのネコのミイラや化石など300点以上のサンプルを集め、そのうち約200のサンプルのミトコンドリアDNAの解析に成功した。結果、イエネコが広まった二つのルートが示された。【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2017/06/post_13616.html】 現代のイエネコのルーツはアフリカ北部やアジア南西部に生息するリビアヤマネコ(Felis silvestris lybica)とすでに判明している。ヤマネコには他にも4つの亜種がいるが、リビアヤマネコは従順で社交性の高い性格をしているといわれている。 論文によると、ネコと人類の出会いは今からおよそ一万年ほど前にさかのぼる。チグリス川とユーフラテス川の流域からシリア、パレスチナを経てナイル川の流域までを含む、古代文明が栄えたいわゆる「肥沃な三日月地帯」で、人間はネコと出会った。出会いのきっかけは農耕だといわれている。餌を求めたネズミが畑や人里にすみ着くようになり、ネズミを狙ったヤマネコたちも姿を見せるようになった。人間は害獣を狩ってくれるネコと共存し、時には世話をするようになった。紀元前7500年ごろのキプロス島の遺跡からは、ペットと見られる埋葬されたネコが発見されている。ただし、同時代にはネコを食べていた形跡も残っている。 そして数千年後、紀元前1700年ごろのエジプトでネコの大ブームが起きた。よく知られているように、ネコは神格化され、死ぬとミイラとして保存された。エジプトで人間になれたネコたちは飼い主と共に移動し、古代ギリシアやローマへと支配を広めた。これが第二のルートである。エジプトのネコたちの子孫は、やがて船に乗って世界各地へと散らばっていった。 驚くべきことに、ヤマネコとイエネコのゲノムにはあまり大きな違いがないという。孤独を好むヤマネコは、遺伝子上の大きな変化なしに、人間や他のネコたちと共に暮らすイエネコになったのだ。また、古来より特定の習性や形質を持つものが選抜されてきたイヌとは異なり、人間による品種改良も19世紀までほとんど行われなかった。イエネコの特徴の一つである渦を巻いた縞模様(ヤマネコは縦縞模様のみ)が現れたのも14世紀ごろと比較的最近だ。論文著者の一人は「ネコは最初から完璧だった」と語っている。 ■ネコは家畜? ところで、ネコが「家畜化」されているという点には疑問の声もある。前述のゲノムの件もさることながら、ヤマネコとイエネコにはそれほど大きな外見的な差異はない。野生化したイエネコとヤマネコの交雑も一部で問題になっている。ネコは飼い主の膝の上で撫でられることを楽しんでいるが、多くの家畜とは異なり、屋外で自分で餌を取って暮らすこともできる。 もしかすると、ネコは家畜化したというより、家畜のように振る舞うことを覚えたという方が正しいのかもしれない。そして、愛玩動物としての地位を確立し人間を利用して世界を制覇した。なるほど、「地と人はネコのもの」である。 (吉井いつき) ※画像は、リビアヤマネコ 「Wikipedia」より引用 (出典 news.nicovideo.jp) <このニュースへのネットの反応> 続きを読む