1: 2017/03/06(月) 17:02:39.32 _USER9 【小林至教授のスポーツ経営学講義】次回以降のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の続行が決まって、ほっとしています。大会のスキームにいろいろと課題はあるものの、日本における野球人気の維持・拡大への効果は絶大ですから。 正直なところ昨年末、アメリカの大手メディアが今回で終了する可能性大と報じた際には、ああ、いよいよその時が来たかと観念してました。 WBCの発足時(2006年)から、米大リーグ機構(MLB)を取り巻く状況は大きく変化しました。当時はバスケットボールやサッカーなどがその市場を世界中に広げる中、野球は五輪から除外されるなどグローバル化に乗り遅れた感が強かった時期です。 しかしその後MLBビジネスは、テレビ放映権料が劇的に増え、IT関連子会社であるMLBAMが1000億円ビジネスに成長するなど、打つ手が面白いように当たり、飛躍的にビジネス規模が拡大し、いまや総売り上げ1兆円に迫るまでになりました。 一方WBCは日本、韓国、台湾、ドミニカなど、アメリカ以外の野球大国では大ヒットとなりましたが、そのどれもが既存の野球市場であり、欧州その他の新規開拓に至っているわけではありません。本国のアメリカでも認知は広まらず、第3回大会からはスポーツ専門局ESPNが中継から撤退しています。 結果としてそのビジネスは、世界で2番目の野球市場である日本によるところ大のままで、売り上げ100億円弱の現状規模から大きな成長は望めない状況です。 そうなると、ケガの懸念から自球団の選手を派遣したくないMLB各球団からすると、もういいじゃない、ということになるわけです。加えて、アメリカが勝てず面白くないのもあるでしょう。 MLBは機構のチカラが強くて動きが早いという説がありますが、それは一旦決議されてからのこと。MLBとの諸々の商談、雑談の中で、日本はオーナーの足並みがそろわなくて大変だとボヤくたびに、おいおいおいと突っ込まれたものです。そちらはわずか12球団で、そのほとんどがカイシャ人、社会常識が通じる方々でしょう? こちらは30もあって世の中と折り合う必要なんてない連中ですよ。バド(セリグ前コミッショナー)は議案を通すために、朝から晩までひっきりなしに各球団のオーナーと電話しているよ、と。 そのセリグをはじめ、WBCの開催に尽力した当時の幹部がいない中での続行の決断ですから、あと2回くらいは安泰でしょう。 ただし日本もアメリカも、野球ビジネスの根幹は各球団です。WBCが継続し国際交流試合が続いている間に、クラブチームの世界大会に結びつけることこそが、野球市場の健全な発展のカギだと思います。 (東大卒元ロッテ投手、江戸川大教授・小林至) 夕刊フジ2017年3月4日17時06分 http://news.infoseek.co.jp/article/04fujizak20170304013 続きを読む