358: 大人の名無しさん 03/06/13 01:02 ID:JV1dRlb4 父親が死んで随分経つんです。 父親はまあ、母親に言わせると「ろくでもない人」で、 とある自営の仕事についていて、その仕事には随分とお金がかかり、 家には一銭も金を入れない。母親の稼ぎでうちは食べていたよう。 裕福な暮らしじゃなかったですよ。借金もあったみたい。 荒い気性で、カーッとなるとワァワァ五月蠅く手は早く、 ぼごぼご叩かれたり、縁側から蹴り落とされたりしましたねぇ。 でも、母親のおかげで食べていけてるという気持ちはあったようで、 なんかたまにヒクツなところがあったと、子供心に思い出せます。 ある日突然、心不全でなくなってしまったんですけどね。 それでね、聞いてください。ついさっきのこと。 あまり使わない箪笥のひきだしの奥、なんか紙みたいのがつっかえてるんですよ。 何だろ?と思って取り出してみると、家の設計図みたいなの。 きれいな図面で、専門家が描いたものだと思います。 母親は外に勤めに出ていた美容師で、なんとその図面には美容室がある。 わたしの部屋は庭に面していて、なんかキンモクセイって鉛筆の手書きで書いてある。 わたしは金木犀が好き。庭があったら植えたいなぁって思ってた。 続きを読む