896 名前:彼氏いない歴774年[sage] 投稿日:2019/11/09(土) 22:42:36.96 ID:ZSGcf+7P [1/3] >>888 うちの近所に、いわゆる聾唖のおじいさんが住んでた。 祖父母と同世代くらいで、事情があるのか、家族はいないそうで、親戚とも離れて一人暮らしだった。 私は、小さい時、「聾唖」ということがわからなくて、どうしてあのおじいさんはいつもニコニコしてるのに、 挨拶しても返事してくれないのかな? と思って、母に尋ねた。 「おじいさんは耳が聞こえなくて、喋ることもできないの。 だから、あんたが挨拶しても聞こえないの。無視してるんじゃないのよ」 と教えられ、聞こえない、喋れないってつらいなと思った。 そんなおじいさんに、弟はよく懐いてた。 おじいさんは手話もできなくて、意思の疎通は基本的に筆談。 学校もまともに行けてないそうで、ひらがなばかり。 弟が「今日ね、○○(差別用語)さんに漢字教えてあげた!」と言った時、母が卒倒しかけたけど、 その差別用語は、おじいさんが幼少期からずっと、周囲に言われ続けたことだった。 自分が耳が聞こえないのは本当だから、と。 両親は弟に 「いくら本人がいいと言っても、そう呼んじゃ駄目」 と言っていたが、6歳の弟にはよくわからなくて、結局、親が折れた。 幸い、近所の人達も、おじいさんが自分のことをそう言っているのはわかってたから、弟は責められなかった。 弟は成長するにつれてやんちゃになり、悪ガキになっていったが、何故かおじいさんにだけはとても優しかった。 不思議なことに、筆談してないのに、弟はおじいさんが歩いてるのを見かけると 「○○さん、どしたの?」 「買い物行くの?病院?」 「そっか、買い物か。何がいるの?買ってきたげるよ」