転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1571014631/ 1: ◆q4ctS9nNro 2019/10/14(月) 09:57:11.77 ID:4fnvXGgrO 大学生活後半は就職活動をするのが、一般的な大学生らしい。大学4年の俺も例外ではなかった。 「疲れた……」 その日は大阪にある企業の面接を終えて、飛行機で帰京する為、電車で空港に向かっていた。 『……………快速……空港・………行きです』 電車の車内アナウンスを聞いたのを覚えている ── 2: ◆q4ctS9nNro 2019/10/14(月) 09:57:57.05 ID:4fnvXGgrO 1時間ほど経っただろうか?目を覚ました時、ふと車窓を見ると電車は自然豊かな田舎の駅に停車する直前だった。明らかに空港方面とは違う。俺は慌てて電車を降りた。 プラットホームから電車を見ると『………快速和歌山行き』と表示されていた。どうやら電車を間違えたらしい。 「え……?」 というよりここは何処なんだ。電車が出発した駅の周りには民家が数軒と山しかない。電車を慌てて降りたのは悪手だったかもしれない。とりあえず改札口に向かうが人の気配は無い。どうやら無人駅のようだ。 3: ◆q4ctS9nNro 2019/10/14(月) 09:58:31.21 ID:4fnvXGgrO 「どうするかなぁ……飛行機はもう間に合わないよなぁ」 搭乗予定の飛行機は金欠学生御用達のLCCだった。LCCは基本的にキャンセル変更不可である。つまり帰京する為には別の手段が必要だった。スマホで調べようと電源ボタンを押す。 【バッテリー不足】 ……不幸の連続だった。途方に暮れる俺は、改札口から駅の外を眺めるが、駅前にはコンビニすら見当たらない。あるのは自販機だけだ。 「とりあえずジュースでも飲むか……」 バーのない改札を抜け、駅前の自販機でジュースを買った。ふと流れる風が気持ちいい。 「田舎っていいなぁ」 就活疲れ……そうかもしれない。都会の喧騒から離れたこの場所は、不思議と嫌いではなかった。 ── 続きを読む