転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1363702941/ 1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/03/19(火) 23:22:21 ID:Y2vBO1zo ◆ プロローグ 「『僕』が『君』と出会ったのは、いつだったっけ。 僕らが、まだ赤ん坊の頃だったかな。 それとも、幼稚園や保育園に通っていた頃だったか。 いや、違うな。 ああ、思い出した。 高校一年の頃だ。 あの日は高校の入学式だった。 いい日だったよ。 薄桃色の花びらが、アスファルトの道路に へばりついてて、低く垂れ込めた雲から雨が降ってた。 うんざりするほどの傘が、狭い道路を埋め尽くしててさあ、 そのときの僕は、あまりいい気分じゃなかったんだよ」 2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/03/19(火) 23:25:14 ID:Y2vBO1zo 「なんでって、そりゃあ 今まで仲のよかった友達と、離ればなれになっちゃったからね。 まあ、『あいつ』とは一緒だったけど」 「そんな日に、僕は君を見つけたんだ。 君は数人の友達と、楽しそうに笑いながら歩いてた。黄色い傘を差してたよ。 よく憶えてる。初めて君と出会った日のことだからね」 「ん、これは出会ったとは言わないのか。 僕らが実際に会話をするのは、それから数ヵ月後だね」 3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/03/19(火) 23:26:15 ID:Y2vBO1zo 「そのときの僕の目には、 君だけが別の世界から来たものみたいに見えたんだよ。 綺麗だった。ほんとうだって。いや、今も見えてるよ。 たぶん、そのとき君は僕のことを、 モブのようにしか見ていなかっただろうね。 もしかしたら、僕なんて見えていなかったのかも。 でも僕は、ずっと君を見てた。ずっと目で追いかけてたんだ。 まあ、今はそんなこと、どうでもいいね」 「僕は今、とても幸せだよ」 4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/03/19(火) 23:27:10 ID:Y2vBO1zo なんてさ。 夢の中の僕はそんなことを言うんだよ。 ばかみたいだ。 続きを読む