転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1348562324/ 1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/25(火) 17:38:44 ID:RBJ51cBg 秒速5センチメートルの話はもう記憶の彼方だ。 あの踏切で彼女「らしき」人とすれ違ってから一年が経った。 今や僕にも愛すべき人がいる。 あの日から数カ月、今もあの踏切を新宿行きの快速列車が走る。 花苗「貴樹、どうしたの?」 貴樹「…何でも無い。」 花苗と絡ませた手の薬指には、花苗の薬指に付けてある銀色に光る指輪と同じものが付けらている。 桜の花弁が、絡ませた指の近くを通り過ぎていく。僕が桜の花弁をつかむことは、もう無い。 2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/25(火) 17:58:07 ID:RBJ51cBg 花苗「いつも貴樹は『何でも無いって』言うよね~」 貴樹「…考え事してた」 花苗「少しは素直になってほしいな、もうすぐ結婚するんだし。ねえカブ?」 カブと言いながら足元の犬を見る。カブは数ヶ月前、つまり花苗と再会したすぐ後、死亡してしまった。今いるカブは花苗がこっちに越してきたときに新しく飼い始めた柴犬だ。 貴樹「悪いな花苗。そういえば前から聞きたかったんだけど、新しく飼い始めた犬にまたカブって…どうなの?」 あわてて話を変える 花苗「別にいいじゃない。ね~カブ(二号)?」 カブ(二号)「わふ?」 話を分かっているのかどうかわからないが、いつもカブは返事をする。小首を傾げる動作がいちいちかわいい(花苗談) 自分たちの横を子供が近づいてくる。かわいらしい二人の小さな小さなカップルだった。 3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/09/25(火) 18:53:36 ID:RBJ51cBg 花苗「ひさしぶりだよねー、貴樹が散歩に行こうって言うのは」 貴樹「たまには家から出た方がいいだろ?」 花苗「あなたがそういうこと言う~?仕事も家でしてるくせに」 貴樹「好きな仕事だからいいの」 サムズシステムを辞めた後、オンラインでの仕事に転職した。宇宙関連の仕事だ。 貴樹「種子島に居た時から宇宙関連の仕事に就きたいと思ってたし…JAXAは落ちたけどっと?」 よく見ると二人の小さなカップルがこっちを見ている。 続きを読む