転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446611135/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/04(水) 13:25:35.60 ID:6LZx9kqto 『――もういいかーーいっ?』 良く言えばマイペース。 悪く言えば鈍くさい。 そんな私の性格は、小さな頃から今日この日まで、ずっと変わる事がありませんでした。 「……ま、まーだだよっ」 お陰でいじわるな男の子にからかわれる事もしょっちゅう。 外を走り回るのは好きだったけれど、それが得意かというのはまた別のお話で。 「ど、どこか、かくれるばしょ……」 幸運な事に、そんな私も周りの人には恵まれました。 何だかんだで遊んでくれる友達、のんきに笑いかけてくれる両親。 そして―― 『……おーい、藍子――』 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/04(水) 13:34:48.04 ID:6LZx9kqto 「――ふわぇっ……?」 「起きないとほっぺつっついちゃうぞー」 目蓋を開けると、目の前にあったのは楽しそうなPさんの表情。 そして頬にはつっつかれるような感触。 「おっ、起きたな。ぷにぷにだ」 「……おはよう、ございます?」 寝ぼけ眼のまま辺りを見回します。 いつの間に眠り込んでしまったのでしょう。 腰掛けていたソファー前のテーブルに、アルバムが開かれたまま重なっています。 「……ぷにぷにじゃないです」 「え、時間差? というか否定するの?」 困ったように笑いながらPさんが向かいのソファーへ腰を下ろします。 ぼんやりとした頭のまま時計を確認すると、約束の時間ぴったりでした。 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/04(水) 13:41:59.87 ID:6LZx9kqto 「悪いね。休みだって言うのにお昼から」 「いえ、お散歩するくらいしか予定ありませんでしたし」 大きく伸びをして、深呼吸を一つ。 気を取り直して数冊のアルバムを綺麗に重ね直しました。 「で、これがそう? ずいぶん量があるね」 「はい。全部じゃないですけど、写真を撮り始めた頃の物から一通りは」 今日はテレビ番組で使う写真を選ぶ予定です。 ゲストにエピソードを語ってもらうという形で、それなら写真がちょうどいいだろう、と。 そう数を撮っている自覚はありませんでしたけど、こうして改めて見てみると驚きます。 積み重ねて来た時間っていうのは、きっとこういう事を言うのかも。 「さぁ、じっくりと選びましょうか」 「陽が暮れない内に終わるかなぁ」 「どういう意味ですか」 「あはは」 そして、アルバムをめくりました。 続きを読む