転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1345286310/ 1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/08/18(土) 19:38:30 ID:mOLLvDhk 千早「狭き門?」 の前日譚的な。 2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/08/18(土) 19:38:58 ID:mOLLvDhk 臨死体験というものがある。 一般的には死の危険に瀕した際に、まるで魂だけの存在になったかのように自分自身や周りの景色を俯瞰的に見ることが出来るという現象、その報告を指す。 そもそも臨死体験自体が一般的ではないということには目を瞑っていただきたい。 とにかく、本来ならば知りえない情報をまるで見て来たかの様に語る重病人や怪我人が多数おり、それを不思議に思った、あるいは面白がった人間がさらにそれを伝え、今では臨死体験=幽体離脱というような図式が容易に思い描けるまでになったのだ。 これに対して、一つの仮定を述べたいと思う。 人間の脳というものは、通常ではそのほとんどの能力を使わずにいるらしい。 聡い人であればここまで言えば何を言わんとしているのかが予測出来たことと思われるが、もう少しお付き合いいただきたい。 多くの場合プロのスポーツ選手などが、極限まで集中した時に、世界がゆっくりと動いているように見えると言う。 これはスポーツ選手と並んで、交通事故などに遭う瞬間なども報告されているようであることから、危機回避能力の発露と捉えるのが妥当である。 報告と言っても、一小市民である私にとって、それはTVやインターネット上の書き込みの受け売りであることを明記しておこう。 本題に戻ると、何かしらの危機に陥った際に、普段は使われていない能力を発揮してそれを回避しようという本能的な行動が、このゆっくり見える状態なのではないだろうか。 これを仮に『クロック・アップ』と呼ぶことにする。 ちなみに走馬灯もその一種だと考えられる。 そして、そのクロック・アップこそが臨死体験や、いわゆる幽体離脱の正体ではないかと思うのである。 ゆっくり見えるのと、知り得ないことを知るのでは通じないとお思いだろうが、その点についても説明したいと思う。 3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/08/18(土) 19:39:31 ID:mOLLvDhk 先に述べた通り、我々の脳は常にセーブ状態にある。 理由は色々言われているが、主だったものとしては負担が大きすぎるからというものが挙げられるだろう。 ともあれ、そうして機能を制限された状態で認識する、たとえば細長い棒状で先が細くなっているという大まかな情報からThis is a pen.と判断するということは、そのために得た視覚的、触覚的情報等を、必要最低限以外は切り捨てているということなのである。 もし、その制限が外れた場合、どうなるのだろうか。 それこそが、クロック・アップなのである。 物事を認識する速度が上がれば、当然世界は遅く見える。 バッターボックスに立った打者を想像して頂きたい。 自分とボールとの距離がどの程度であるという認識の積み重ねこそが、ボールの速度であるのならばその積み重ねる速度が上がるのに反比例してボールは遅く見えるようになるのである。 この時、バッターの脳内では高速で処理するために出力を上げているだけでなく、必要のない情報をシャットアウトするなどの最適化も行われているだろう。 そして、これこそが幽体離脱の正体である。 つまり、通常の脳では処理しきれないために捨てている多くの情報を、クロック・アップによって認識出来るようになったのである。 普段なら聞き逃している床や壁の木材の軋みや空気の動く音、それが肌に触れる感触など、その全ての情報を認識した時、目の前には俯瞰的な景色が広がっているのではないだろうか、知り得ない遠くの出来事を知っているのも同じ原理である。 4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/08/18(土) 19:40:01 ID:mOLLvDhk だから、こうして今見ている風景は、きっとあそこで暢気に横になっているやつが見聞きしている世界なんだろう。 おそらく痛みも感じているはずだが、それは不要な情報としてカットしているのだろう。 そうでなければあの状態でこうしてのんびり考え事をする余裕なんてないはずだ。 あれは確実に足が折れてるだろう、服で見えなくて助かったな、ってそんな引っ張り方したらとれちゃう! 足とれちゃうから! これからどうなるのだろうか。 このままどこか高いところに上っていってあたたかい世界で暮らしていくのだろうか、それともどこか別の命へと旅立つのだろうか、出来ることなら苦しいことや、ずっとこのままなんていうのは勘弁してほしいところなのだが。 続きを読む