転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1495281603/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/20(土) 21:00:15.45 ID:0X8kYMXt0 あっと言う間に春が過ぎ、梅雨に入る前に初夏の陽気が訪れた、そんなある日のこと。 その日、休日ということもあって朝飯も食わずに惰眠を貪っていた俺の平穏な日常は、けたたましい呼び鈴の音によって台無しにされた。 ハルヒ「遊びに来たわよっ!」 お袋も妹もいつの間にか何処かへ出掛けてしまったらしく、いつまで経っても鳴り続ける呼び鈴の音に耐え兼ねた俺が仕方なく玄関で来客を迎えると、そこには涼宮ハルヒが佇んでいた。 ハルヒ「なにあんた、まだ寝てたの?ほんっとだらしないわね。シャキッとしなさいっ!」 開口一番に有難い小言を吐き捨てたハルヒは、寝ぼけ眼で意外な来客に驚愕を禁じ得ない俺に喝を入れると、ズカズカと我が家に上がり込んできた。本当に遠慮を知らない奴だ。 文句を言う暇も与えず、勝手知ったる他人の家状態でマイホームを闊歩するハルヒの後ろに、住人である筈の俺が付き従う。実に奇妙だ。 ハルヒ「あら?お母さんも妹ちゃんも居ないの?てことは今日はあんた1人でお留守番?」 キョン「そのようだな。と言っても、俺も今起きたばかりだから何処に行ったのかは知らん」 ハルヒ「なら、羽目を外しても平気かしら?」 キョン「何をするつもりだ、何を」 家の中に俺以外居ないことを知ると、ハルヒは怪しい笑みを浮かべて不穏なことを言う。 そんな傍迷惑な来訪者の様子に辟易としながら、俺は招かれざる来客を自室に通した。 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/20(土) 21:04:48.22 ID:0X8kYMXt0 キョン「……そろそろ帰ってくれないか?」 ハルヒ「嫌」 ハルヒが訪れてから小一時間。 その間ずっとこいつは俺の部屋の漫画を読み漁っている。もちろん、俺を放置して。 いや、完全に放置してくれたらまだ良かったのだが……現在、俺の膝の上には、ハルヒのサラサラした髪に包まれた頭が鎮座している。 つまり俺は、『膝枕』をさせれられていた。 どうしてこうなった?そんなことは知らん。 本棚から漫画を強奪するや否や、コロンとこちらの膝に頭を乗せて来たのだ。驚天動地だ。 キョン「その漫画を読み終わったら帰れよ」 ハルヒ「うっさいわね。なんで帰らないといけないのよ。明確な理由を示してみなさい」 キョン「膝が痺れてきたんだよ。お前の頭が漬物石のように重いせいでな」 ハルヒ「そりゃあ、あんたの脳みそ空っぽなスカスカ頭よりも、聡明なあたしの優秀な頭の方がずっしり重いに決まってるでしょ?」 口の減らない奴め。悪口だけは確かに天才だ。 しかし、こいつの恐ろしいところは自称する通り、本当に聡明かつ優秀な頭脳を持ち合わせていることだ。そんな、言い換えるならば、悪知恵を働かせたハルヒは、帰れ帰れとうるさい俺を黙らせるべく突拍子もないことを口にした。 ハルヒ「あたし今、ブラ着けてないのよね」 4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/20(土) 21:06:26.54 ID:0X8kYMXt0 その衝撃的な一言に、俺は硬直した。 一応断っておくが、断じて下ネタではない。 硬直したのはもちろん股間ではなく、思考だ。 固まった頭脳は、一瞬の空白を取り戻すかのように猛烈に高速回転を始める。 それと同時に視線がハルヒの胸に……はっ! いや、駄目だ!これは罠だ!! 慌てて我に返って視線を中空に戻す。 視界の下方向からいやらしい笑みがこちらに注がれている。俺の反応を愉しんでやがる。 危機一髪で窮地を逃れた俺は煩悩を捨て去り、どうすればこの性悪女に一泡吹かせることが出来るか、それだけを考え……そして閃いた。 キョン「奇遇だな。実は俺も着けてない」 どうだ。これぞ意趣返し。完璧な受け答え。 さぞかし悔しかろうと、内心ほくそ笑んでいると、ハルヒは嘆息し呆れたように口を開いた。 ハルヒ「ばっかじゃないの?」 ……………奇遇だな。 つい今しがた、俺も同じくそう思ったよ。 続きを読む