転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1384421027/ 1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/11/14(木) 18:23:47 ID:BjRZ7st. ・「氷菓」の二次創作。おとなしめの 奉太郎×える ものです。 ・「遠まわりする雛」の翌日、風邪を引いた奉太郎にえるがお見舞いに来る話。「ふたりの距離の概算」で軽く触れられたエピソードの中身を妄想しました。 ・アニメ18話「連峰は晴れているか」を知らないとちょっとわからないとこがあるかも。 ・できるだけ原作との矛盾はないように気を付けましたが、あくまで「できるだけ」なので多少変でも多めに見てください。 ・初投稿なので至らない点も多いと思いますが生温かい目で読んでください。 5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/11/14(木) 18:34:14 ID:BjRZ7st. ※ここから始まりです 「他人の痛みは三年でも我慢できる」という言葉があるように、得てして人は他人の痛みには鈍いようにできている。 特に省エネ主義を掲げる俺にとってすれば、自分自身のことに費やすエネルギーの節約にすら手間取っているのに 貴重なエネルギーを他人の問題に充てることなど自らの信条への背信に他ならず、 したがって可能な限り他人への感情移入は避けるようにして生きてきた。そもそも他人の痛みを俺が我慢する義理も意味もないと考えていたのだ。 6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/11/14(木) 18:36:31 ID:BjRZ7st. ところが最近、高校一年の春休みになって、俺の省エネ主義は根本から脅かされようとしている。 その結果としてなのか、或いは順番が逆なのかはわからないが、どうやら俺の中で他人のことを考えるために割くエネルギーのリソースが増えているようだ。 こうして自室のベッドに仰向けになり、今日一日で使いすぎたエネルギーの補填のため早く眠りにつこうと目を閉じていても、頭の中で勝手に増殖しているのは、 俺が一人であったなら決して生まれるはずのなかった問題への解決策を模索する勢力だ。 7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2013/11/14(木) 18:37:57 ID:BjRZ7st. 福部里志が、伊原のチョコレートを砕いた理由。 俺は今日、それを知った。知った、というより、実感したという表現の方が正しい。 「ところでお前が諦めた経営的戦略眼についてだが、俺が修めるというのはどうだろう?」 この一文が、千反田の前で、どうしても喉よりも上に進まなかったから。 結局、本当の意味で他人の痛みを知るには、自分も同じ痛みを味わってそれを実感するしかないということだ。 そして、今や「他人の痛み」ではなくなってしまったこれを、俺は一体どう扱っていけばいいのか。この問題に対する解決策をどうしたものか、今は見当もつかない。 続きを読む