転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1560961130/ 1 : ◆Hnf2jpSB.k 2019/06/20(木) 01:18:50.77 ID:o0P+gXsG0 ・地の文 ・軽度の越境要素有 ・捏造山盛り よろしければお付き合いください 2 : ◆Hnf2jpSB.k 2019/06/20(木) 01:20:03.52 ID:o0P+gXsG0 初めて会う人だった。 でも、この業界の人なんだなっていうのは分かる。 ……テレビ局のカフェスペースなんて、関係者くらいしか来ないしね。 「相席、いいですか?」 その男の人は優しそうな笑顔を浮かべていた。 うん、営業スマイル……ってわけじゃないかな。 着てるスーツもちゃんとしてるし、第一印象は合格。 「はい、どうぞ」 周りにはいくつか空席もあるのに、なんでわざわざここに? そう思うけど、こういうことが次のお仕事に繋がったりするからね。 それに、収録が早く済んじゃったからまだ時間がある。 一人でボーっとして時間を潰すよりはいいかなって。 「ありがとうございます」 さて、どんな話なんだろう。 面白い話ならいいけど。 そんな気持ちがちょっと顔に出ちゃってたのかもしれない。 男の人は、いきなり本題に入った。 でもそれは、まるで予想外の話だった。 「周防桃子さん、アイドルになりませんか?」 3 : ◆Hnf2jpSB.k 2019/06/20(木) 01:20:53.01 ID:o0P+gXsG0 「……アイドル?」 突然出てきた言葉に、頭がちゃんと回ってくれない。 アイドルって、あれだよね。 ステージで歌って踊って。 時にはバラエティタレントみたいなお仕事もして。 そのアイドルに、桃子が? 「はい」 しっかり目を見て頷いた男の人から名刺を受け取る。 芸能事務所765プロダクション。 肩書きはプロデューサー。 その事務所の名前は桃子も知ってる。 少数精鋭主義のアイドル事務所で、所属アイドルはみんな売れっ子っていう。 そんな所のプロデューサーさんなんだ。 オジサンって呼んだら傷つきそうな、そんな歳に見えるのに。 こう見えて優秀な人なのかな。 4 : ◆Hnf2jpSB.k 2019/06/20(木) 01:21:28.64 ID:o0P+gXsG0 「今、弊事務所では新プロジェクトを立ち上げているところなんです」 これまでの少数精鋭から一転して、大規模な新人募集を行う。 併せて新設する劇場を拠点として活動していく。 プロデューサーさんは、そういう説明をしてくれた。 「そのプロジェクトに、桃子を……?」 「やってみたいと、そう思ってもらえるなら」 面白そうだな、って思った。 同じ芸能界でも、桃子の知らない世界のお話だったし。 こういう説明をきちんとしてくれるのも、ちょっと嬉しかったし。 でも、アイドルをやってみたいかっていうと、それはちょっと違う気がする。 だって桃子は子役だから。 今のこのお仕事、好きだから。 桃子が今何を考えてるのか、プロデューサーさんも分かってるみたい。 だって、ダメで元々、みたいな顔してるもん。 続きを読む