転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469115793/ 1: ◆C2VTzcV58A 2016/07/22(金) 00:43:13.65 ID:eB7Xh4vIO ――ずっと、愛されて育ってきた。 かわいい服をたくさん作ってくれた母。時には厳しく叱ってくるけど、私を大事にしてくれる父。妹は本当にいい子で、いつも姉を慕ってくれている。 友達や周囲の人にも恵まれていた。自分の性格上、誰かと衝突することもあったけど……そういう場合、最終的には雨降って地固まるって感じになってたし。 だから、まあ、本当に。幸せな環境で育ててもらえたんだと思う。 2: ◆C2VTzcV58A 2016/07/22(金) 00:43:55.77 ID:eB7Xh4vIO 「それじゃあ、また明日。心」 「お疲れ様です! 佐藤さん」 心「おつかれ♪ また明日☆」 いつものように会社での労働を終え、いつものように同僚とあいさつ。 いわゆるOLとしての仕事については、就職してからの3年でいろんなコツをつかんだと思う。最初は失敗も多かったけれど、いつの間にか新人にアドバイスをする場面も増えていた。 心「時の流れはあっという間、ってことなのかなあ……ん?」 職場を出て、駅まで歩いている途中。 電気屋のそばを通りががると、店頭に出ていたテレビの画面になんとなく目がいった。 『おーねがい、シーンデレラ――♪』 自分より若い女の子たちが、ステージの上で歌って踊って、歓声を浴びている。 ニュースの映像の一部だったのか、すぐに画面はキャスターと解説者らしき人のツーショットに切り替わった。 心「……アイドルかあ」 気づけば足は止まり、ニュースの内容に耳を傾けている自分がいる。 どうやら、近頃の空前のアイドルブームについての話をしているらしい。 たくさんアイドルが生まれているぶん、彼女らは差別化を図っていくのが大変だ……とかなんとか。 3: ◆C2VTzcV58A 2016/07/22(金) 00:45:29.82 ID:eB7Xh4vIO 心「……やれてるだけで、十分すごいんじゃない?」 アイドル。 心「………あっ! スーパーのタイムセール!」 アイドル。 心「急がないと……っ!」 アイドル。 小さい頃は、ただ漠然と、輝くステージに憧れていた。 キラキラかわいい衣装に身を包んで、ワーワー大きな歓声を浴びながら、好きな歌を好きなだけ歌う……女の子なら、一度くらいそんな妄想をするはずだ。アイドルって、お嫁さんと並んで女の子の夢トップ2だし、きっと。 私は、ちょっとばかりその妄想の回数が多い子だった。 家の中で、両親相手にミニライブを行った回数は数知れず。ピンク色のおもちゃのマイクを 片手に、きれいにポーズまで決めていた。気分はまさに歌姫。 続きを読む