転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1388507258/ 1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/01(水) 01:27:38 ID:2oSr0i/E 昔VIPで書いたことのあるピカチュウ♂とサンド♀の話をベースにしたSSです。 3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/01(水) 01:29:59 ID:2oSr0i/E 「あっ、ピカチュウ、見て。流れ星だよ」 横に立っているサンドが夜空を指さしながら話しかけてくる。 「どこ?」 ぼくは空を見上げたまま聞いた。 「ほら、あそこ。今動いてるよ、ほらっ。あっ、あそこにも」 サンドが次々とさす方向を眼で追ったけど、あるのは佇んでいる無数の星ばかり。 動いている星は1つも見当たらない。 「あっ、消えちゃった。ピカチュウ、見つけられた?」 「ううん、わかんなかった」 首をふって答えると、サンドは「そっかぁ」と残念そうにつぶやいた。 ぼくは夜空から眼をそむけてため息をついた。 がっかりしてるのはぼくも同じだった。 なんで見つけられなかったんだろう。ずっと星を眺めてたのに、どこに流れ星があったのかちっともわからなかった。 眼が慣れちゃっててほんとは動いてた星がとまってみえたのかな。もしそうだとしたらすごく損なことしちゃったなぁ……。 サンドはぱっと顔を明るくすると、ぼくに質問した。 4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/01(水) 01:32:58 ID:2oSr0i/E 「流れ星が見えてる間に3回願いごとをするとね、その願いがかなうんだよ。知ってた?」 「うん。でも誰かに話したらかなわなくなるんでしょ?」 「そうそう、詳しいね。わたし、心の中でちゃんと3回お願いできたよ。かなうといいなぁ」 サンドはニコニコしながらシッポをふっていた。 ご機嫌な様子からして、かなえば相当うれしいことなのは間違いない。 このコがお星さまにどんな願いごとをしたのか、なんとなく気になった。 「なにをお願いしたの?」 聞いてからぼくは、それがひどく愚かな質問だったことに気づいた。 ――願いごとを誰かに言っちゃったらその願いは無効になる。 たった今自分でそう言ったのに、ぼくったらなに言ってるんだろ。 聞いたところで「ナイショだよ」って返されるのがオチだ。 でも案に相違して、サンドは笑みを保ったまま聞き返した。 「なんだと思う?」 「えっ?」 「当ててみてよ」 予想外の返答にぼくは戸惑った。 まさか、言葉遊びでも始めるつもりなのかな。 ――秘密にしておかないと願いがかなわなくなっちゃうよ。それでもいいの? そんなぼくの心の疑問に答えるように、サンドは言った。 5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/01(水) 01:36:31 ID:2oSr0i/E 「もし言い当てちゃったら責任とってね、ピカチュウ」 「責任って……」 「だってせっかくステキな願いごとをしたのに、言い当てられたらおじゃんになるんだよ。それじゃわたしが救われないじゃない」 じゃあなんで聞くの? 思わずそう言いそうになったのをぐっとこらえた。 気が強いポケモンなら「じゃあ聞くなよ」って言い返すんだろうけど、元々ひかえめなぼくにはそんな発言、とても口にできなかった。 元々イタズラっぽい性格のサンドのことだ。 ぼくを困らせてただ反応を楽しみたいだけなんだろう。 サンドは「ねぇねぇ、早く当てて」とやたらせかしてくるので、とりあえず思いついたことを片っぱしから言ってみた。 「『水嫌いを克服できますように』とか?」 「ブーッ。はずれ」 「『ミミロップともっともっと仲良くなれますように』かな?」 「あっ、ちょっとおしい」 「じゃあミミロップじゃなくてマスターかな?」 「また遠ざかっちゃったよ」 「そうなの? じゃあえっと……バトルにもっと出させてもらえるようにお願いしたとか?」 それを聞いたとたん、サンドは不服な表情を浮かべた。 続きを読む