689 : 美琴「初恋のような甘酸っぱいクレープ」 - 2013/02/03 08:13:42.50 iF1EedY8o 1/20 一枚のタオルケットの包まれた上条当麻は右手の軽さに違和感を覚えながら焦げ臭い匂いで目を覚ました。 瞬き混じりで重い目を開けると匂いは明確に鼻腔に飛び込んでくる。 寝起きの喉の粘着く不快感を覚えながら上体を起こし、パジャマ姿のまま周囲を見渡す。 するとリビングと一体化したキッチンの方で僅かながら空気が黒ずんでいて、それを全開で動作する換気扇が吸い込んでは外部へ吐き出していた。 コンロの前にはカエルのエプロンをつけたパジャマ姿の少女が失態をどう誤魔化すか、という表情で佇んでいる。 こちらの視線に気づいたのか、通い妻たる御坂美琴は振り向いて、上条に冷や汗の混じった顔で、 「おはよう、ごめん、焦がしちゃった」 と舌を出した。 今の今まで火を使っていたのだろう、ほんのりと赤みが差している。 時期は初夏の六月。土曜日から日曜日にかけての週末。 木々はますます青々と茂り日差しは高くなり、空も成層圏まで飛び抜けそうな季節。 例年のように続く異常気象とやらは今年も健在らしく、南北に長いこの国ではさっそく三十度を超える場所が出ているらしい。 当然、その一つに学園都市も含まれている。 アスファルトだらけのこの世界はこもった熱は重ねられていく一方。 それでもやはり若さか、街には活気があふれている。 そんな夏にも負けない熱い一夜を過ごしたはずなのだが、御坂美琴の表情にはそういった色合いは一切見られない。 腕の中で息を荒げる彼女を独り占めしているという牡の興奮は確かに手のひらに残っているはずなのにあっけらかんとしたあどけない顔のまま。 飾り気のないファンシーなピンク色のパジャマは身体のラインをはっきりと浮かび上がらせていて、それでいてとても健康的で。 情熱的な昨晩とイメージは随分異なる。 部屋の外さえ出なければそのまま日中過ごしても問題なさげに思えてくる。 当然、化粧っけなどない。 「当麻、おはようは?」 「お、おはよう……」 「ん。一応出来てるからさ、顔洗ってきてよ。 ベーコン真っ黒だし白身も焦げ付いちゃったけど黄身は無事なのよ。 勿体ないから食べる?」 元スレ ▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-38冊目-【超電磁砲】 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1350107497/ 続きを読む