転載元 : https://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1550539145/ 1: ◆K1k1KYRick 2019/02/19(火)10:19:05 ID:kuo こずえちゃんの誕生日SSです。 ※ミステリーものではありません 2: ◆K1k1KYRick 2019/02/19(火)10:20:38 ID:kuo 「おぼえたら……かんたんだよぉー?」 プロデューサーが事務所の扉を開けると、丁度こずえは 小さな手の中でルービックキューブをカチャカチャ鳴らして遊んでいた。 「はい……できたぁー」 「えっ、こずえちゃんもそんな簡単に……!? 出来るのが普通なの!?」 手渡されたキューブをひっくり返して眺めながら 斎藤洋子は信じられないという顔をしている。 その隣では真鍋いつきと若林智香が同じ玩具相手に苦戦を強いられていた。 「ハイハイ、皆。おやつ買ってきたよ。好きなのを食べてね」 プロデューサーはテーブルの上にお菓子を並べながら 近くにいたこずえにアニマルクッキーを渡した。 彼女はそれを桐野アヤの所に持っていって一緒に食べようとする。 アヤが頭から食べるかどうか悩んでいる間に こずえはバリボリ音を立てて三枚ほど咀嚼していた。 3: ◆K1k1KYRick 2019/02/19(火)10:20:56 ID:kuo 「……そう言えばプロデューサー、今日ファッション関係の打ち合わせなかった?」 「……! あ、忘れてたわ! アヤ、ちょっとこずえ借りるわね!」 彼女はこずえを脇に抱えると、ドアを開けたまま慌ただしく出ていった。 「どっか抜けてるんだよなぁ、プロデューサー。残念美人っていうか……」 「普段はかなり出来る人なんだけどね。日本語上手いし」 お菓子を片手にアイドルたちはそんな談笑を交わしていた。どこかで小さな笛の音が聞こえた。 # # # 4: ◆K1k1KYRick 2019/02/19(火)10:21:27 ID:kuo 「ふー……間に合った、間に合った」 無事こずえを営業先に届けたプロデューサーは、椅子に座って無糖の缶コーヒーを煽った。 今日は高級子供服を取り扱う店で富裕層に向けた新作ブランドのイベントがある。 こずえはそのメインモデルとして呼ばれていた。 控え室に入るなりこずえはスタッフに囲まれて次々と美しい子供服を着せられ 脱がされて念入りに最終チェックを受けている。 ジュニアモデルの大半はこの退屈で不快な着せ替えに嫌がる。 その中でされるがままになり、服を汚したり 痛めるような事を一切しない彼女は重宝されていた。 見た目が愛くるしい点も高得点である事は改めて言わずとも理解出来るだろう。 「……プロデューサーさん、このような服はいかがですか?」 服の選定も終わり、手持ち無沙汰になったプロデューサーは しばらく隣にある婦人服をチラチラと覗いていた。 店員に話しかけられたのはそんな時だった。 続きを読む