転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1547869677/ 1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/19(土) 12:47:57.57 ID:/dOrnuh+O 『勇者部隊潜入作戦報告書』 ・作戦No472-5513 ・××××.××.××~××××.××.×× ・メンバー◾️◾️◾️.◾️◾️◾️.◾️◾️◾️計3名 作戦目標:ゲート解放 作戦方法:●●と●●の接触 結果:----- 経緯:所見を踏まえて“貴方”へ捧げます。 2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/19(土) 12:49:48.22 ID:/dOrnuh+O レポート1 ー勇者ー 波の穏やかな海を進む船には、勇者、女魔法使い、戦士。 そして私、女僧侶の4人のみ。 スピード重視の中型の船だ、4人でもそんなに広く感じない。 皆、緊張して表情が硬い。しきりに勇者が明るく振る舞い、場を和まそうとするが… やはりぎこちない。 それはそうだろう。これから始まる血まぐさな戦いを思えば、場が和むなんてことはない。 でも私も、勇者にならって愛想笑いを振りまく。彼の心遣いはその人柄の良さを表している。 彼の素晴らしいリーダーシップは、長く一緒に旅をした私は知っている。 魔王城に近づく船は穏やかそのもの。 この作戦には王都軍も陽動役として参加している。 王都軍を魔王城正面から侵攻させ、魔王軍を陽動。 手薄になった裏手の海から勇者パーティが侵入、魔王討伐。 これが最終決戦の作戦。 今頃魔王城前はとてつもない戦いになっているだろう。 でも、この時私は知っていた。 この陽動作戦が失敗に終わるのを。 3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/19(土) 12:53:42.85 ID:/dOrnuh+O 船体に大きな衝撃が走ると、海から大量の魔物が現れた。 勇者の眼つきが鋭くなり、全員が流れるように戦闘体制へ移行する。 さすがに数え切れないほど一緒に戦った仲間だ、突発的なトラブルや奇襲にも慣れたもの。 私は一瞬驚きと戸惑いを装い、勇者の指示に従い魔物と戦う。 霧に紛れて魔王軍の船も多数現れる。 「待ち伏せされてる……」 あまりの敵の多さに、さすがに勇者も気がついた。 陽動を行った上での裏からの奇襲作戦。 敵に暴露てれば、袋叩きされるのはこちらの方だ。 「なんで作戦が暴露てる?!」 群がる魔物を焼き払いながら、女魔法使いが叫ぶ。 戦士はいつも通りの無表情だが、勇者には少し焦りと困惑の表情が見て取れる。 陽動作戦に参加した仲間が心配なのだろう。 魔王軍の正面から戦う陽動作戦。ただでさえ壊滅的な被害が予想されるのに、敵に暴露ているとなれば大被害は免れない。 勇者は甲板の敵を一掃すると船首から周りを見渡し、目を瞑り短く詠唱する。 ピリッと周囲の魔翌力が歪む。 光の魔法だ。 勇者の身体が直視出来ないほど光りだすと、無数の光源体が放たれる。 私は眩しさに目を背けていたが、気がつくと船の周りの敵は一掃されていた。 作戦序盤から火力全開。最終決戦だ、出し惜しみする必要はない。 「みんなっ!! いくぞっ!!」 勇者の雄叫びに皆気合いが入る。 続きを読む