転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1549868643/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/02/11(月) 16:04:03.01 ID:rrYJ0K9qO 思いつくままの百合 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/02/11(月) 16:19:10.00 ID:rrYJ0K9qO 5年程務めていた会社を辞めた。 理由は寿退職。 自己都合って文章を退職届に書かされたのが会社の社宅を出た一月前のこと。 まるでこっちに問題がありましたので、辞めさせて頂きます、という感じで。 後味の悪さを感じたり、感じなかったり。 恩着せがましい会社だったなあという印象のせいかな。 私の性根が腐ってるのかもしれないけど。 それでも、それとなく円満に勤めていたので、会社の上司にも同僚にも後輩にもお客さんにも、もちろん親にも祝福された。 結婚式の日取りは決めてなかったけれど、彼の住んでいる地域に引っ越して、籍だけは良い夫婦の日に入れようって二人で決めて。 それで、みんなからプレゼントもたくさん貰った。 友達にも引っ越しの前にお祝いして貰って。 これから私は妻になって主婦になって、もしかしたらママになっていったりするんだろうなって。 漠然とした不安と希望の中にいた。 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/02/11(月) 16:29:43.91 ID:rrYJ0K9qO 会社を辞めると、途端に時間ができた。 自分の手に余る時間ができて、仕事の無くなった解放感を味わっていたのも束の間。 すぐに、自分自身の地に足の着かないような感覚に違和感を感じるようになり、 とりあえず、派遣会社に登録してぽっかりあいた穴を埋めつつ、家事に勤しむ日々を送っていた。 なんだかんだ、4年付き合っていた彼と同棲し始めて、二ヶ月が経っていた。 「ただいま」 彼の帰宅と同時に、炊飯器がメロディーを鳴らす。 炊き立てのご飯、出来立てのおかず。 綺麗な部屋。 仕舞われた洗濯物。 今日の一日が報われる瞬間は、夕飯の時。 住み慣れた地域から離れて、周りに知り合いもいないので、 彼との夕飯が一日のちょっとした楽しみだった。 4: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/02/11(月) 16:40:27.77 ID:rrYJ0K9qO へとへとの彼を癒してあげなくては、というのは前職の職業病のようなものなのだけど、 誰かを支えて生きる喜びを感じて、これが一緒になるってことなのかとなんて。 そう、自分に言い聞かせていた。 一緒になれば、好きになれるはず。 一緒になれば、結婚したくなるはず。 一緒になれば、ちゃんとできるはず。 彼に告白されて、付き合って。 キスもたくさんして、セックスだってして。 そうやって、『彼女ならそうする』であろうことを繰り返した。 彼は一緒にいて一番ラクで、将来の事も大丈夫だろうと、 打算的な部分もありつつ、いつも私に愛情を注いでくれることに信頼して。 5: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2019/02/11(月) 16:45:19.79 ID:rrYJ0K9qO たくさんたくさん感謝をしなくてはいけない存在だった。 彼は毎日私に愛をくれた。 それなのに、私が彼に『好き』と伝えたのはたった1回だけだった。 好きじゃないから、好きと言えないのか。 自分の性格から、そう言えないのか。 本当に人を大切に思った事なんてないから言えないのか。 同棲し始めて、今まで考えてこなかった部分が少しずつ大きくなっていった。 続きを読む