魔王「ボクに魔王なんて出来るわけねぇ」(前編) 319 : ◆Ks1JsTemxeE/ 2017/05/11(木) 15:30:29.01 ID:OWBPr/esO ■ 第31話 重過ぎた彼のもの ■ 320 : ◆Ks1JsTemxeE/ 2017/05/11(木) 15:32:15.78 ID:OWBPr/esO 魔伯爵「魔王サマのご意志を持って新たな王となりマス」 魔王「うん……」 魔王は物悲しげな表情で見つめる。 腰にさした剣を手に取り、魔伯爵の前へ出す。 魔王「魔剣だよ。これは“魔王”しか触れることが出来ない。解放したから、もう暴走することもないよ」 魔伯爵「……」 魔王「こんな剣を持てても王として……ボクは何も変えられない。民の気持ちや兵士達の信頼、そっちの方がよっぽど重い」 魔王「キミこそ王として相応しい」 魔王「この魔剣と共に王位を託します」 魔王「受け取ってください……」 魔伯爵「……はい」 魔伯爵は差し出された剣に手を伸ばし…… 受け取る。 魔伯爵(魔剣……これで我が) 魔伯爵「“魔王”だ……」ニヤリ 魔王「……」 魔王「……残念だよ。魔伯爵さん」 321 : ◆Ks1JsTemxeE/ 2017/05/11(木) 15:35:44.83 ID:OWBPr/esO 魔伯爵「?」 魔剣は……いや、魔王が渡した剣は黒い泥のように溶ける。 魔伯爵は魔法封の呪いにかかった! 魔伯爵「これは……魔剣ではない?!!」 魔王「キミが黒幕だったんだね」 魔伯爵の足元に魔法陣が浮かび上がり、部屋全体が結界に封じ込められる。 魔王は泣き出しそうな表情を浮かべ魔伯爵を見つめる。 背後から女側近、魔執事、エルフが現れ魔伯爵を取り囲んだ。 魔王「それは魔剣ではなく、エルフさんに作ってもらった呪いの剣」 エルフ「おぬしの魔法は封じ込めた。この結界も特別仕様じゃ」 魔執事「……オメェを尊敬していたのにょ」 女側近「……伯」 魔伯爵「……」 魔王「キミの策略は終わりだっ!」 魔伯爵「最初から……我に“魔王”の座を譲る気など無かった」 魔王「うん……ごめん、ハッタリだよ」 魔伯爵「我が裏切り者ということデスか? なぜ?」 魔王「ずっと分からなかったよ……側近が裏切るとは考えもしなかった」 続きを読む