転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1406047690/ 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:48:10 ID:A5KaJ/ds <町外れの街道> 空は青く、高く澄み渡っていた 薄い木綿のように伸びて透き通った雲は、厚い雲と重なり折りたたまれる 街道沿いに一本、大きな枝を伸ばした木がある その枝に座り、木の葉に隠れるようにして空を見上げるヒトがいた ?「………」 少年「あ。猫みたいな声の、鳥さんだ」 ?「ぴゃぅ…?」 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:48:55 ID:A5KaJ/ds 声を掛けると、少女が振り向いた。よくこのあたりで見かける少女… 少女、とはいってもそれは顔立ちの話であって、容姿はヒトの物ではない ヒトの上半身を持ちながら、翼を背に生やし、足先は三又に分かれている 鳥。彼女はまさしく、鳥だった 少年「何してるの?」 ?「ぴゃぁ、ぴゃあぴゃあ」パタパタ 少年「あー。空を、飛ぶ練習をしてるのかぁ」 翼をはためかせ、飛んで…というよりは、ゆっくりと下降してくる彼女 僕の前まで降りてくると、意思の疎通が取れたことを喜んで、可愛らしく笑った 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:49:30 ID:A5KaJ/ds ?「ぴゃぁっ♪」 少年「猫みたいな鳥さん、よかったら手伝ってあげようか?」 何度か声を掛けた事があるけれど、どうやら彼女自身は発語ができないらしい だから僕は、名前を知ることの無い彼女をこんな呼び方しか出来ないでいる 『猫みたいな鳥』 ヒトみたいな鳥と呼ばないのは、その可愛らしい声のほうが印象的だったからだ その彼女は、僕の言葉を聴いてその翼をちいさくすぼめた 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:50:03 ID:A5KaJ/ds ?「ぴゅぅ…」ショボン 少年「どうしたの? 大丈夫、飛ぶ練習なら手伝えると思うよ?」 ?「ぴゃぁー」フルフル 少年「えっと…、無理だと思うのかな?」 少年「これでも僕、インキュバスなんだ。空も飛べるよ? 翼だってあるし」 僕は、彼女の翼に比べるとだいぶ見劣りのする小さな翼を広げてみせる それを見て、彼女はすこし驚いたようだった 人間の子供だと思われていたのかもしれない 5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:50:37 ID:A5KaJ/ds ?「ぴゃぁ…ぴゃぁー」フルフル 少年「そんなに信用ないかなぁ…大丈夫だってば。ほら、手を貸して」ギュッ ?「ぴゃぁっ!?」パシッ 少年「痛っ…」 反射的、という感じで手を払われてしまった 嫌われているのかと心配したけれど、どうやらそうではないことはすぐにわかった 手を振り払った彼女は、申し訳なさそうに、だけど不安そうに震えていたからだ ?「……」プルプル 少年「…あ、そうか。もしかして、恐いの?」 ?「ぴゃぁ……」コクン 少年「立派な翼がついてるのに、もったいないね」 続きを読む