転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1491478717/ 1 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2017/04/06(木) 20:38:38.08 ID:vIOET9z7o けいおんSS 2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2017/04/06(木) 20:39:28.84 ID:vIOET9z7o 二回生ともなれば大学にもそこそこ慣れてくるもので、私も去年と比べれば見違えるほど余裕のあるキャンパスライフを送っていた。 具体的に言えば周囲にも目を配る事が出来るようになってきた。 より具体的に言えば、私とお姉ちゃんを取り巻く周囲に。 お姉ちゃんは相変わらず仲間に恵まれている。 高校時代から変わらない軽音部の仲間に加えて、ライバルのバンドの人達や先輩にも恵まれているのが見て取れる。 そしてそれは軽音部の中だけというわけではなく、大学構内でお姉ちゃんを見かけた時はいつも同じように周囲の人と笑いあっていた。 もちろんそんな中でも変わらず私や梓ちゃん、純ちゃんといった後輩にも優しく接してくれる。 ありきたりな言葉だけどお姉ちゃんは私から見ても「幸せ」だったと思うし、お姉ちゃん本人もいつもそう言っていた。 だから、誰が何と言おうとお姉ちゃんは幸せだったのだ。 他ならぬ私とお姉ちゃんがそう思ったのだから。 3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2017/04/06(木) 20:40:16.05 ID:vIOET9z7o そんなお姉ちゃんの心に影を落としたのは、一つの訃報。 地元で家族同然と言えるほど仲良くしていた、とみおばあちゃんの訃報。 「お葬式は土曜日に行われる」 「無理に帰ってこなくてもいい。代わりに私達がちゃんと出席し、伝えておくから」 お父さんからの電話で言われた事のうち、それくらいしか頭に入ってこなかった。 私でさえこんな有様だったのだから、お姉ちゃんの受けたショックがどれほどのものだったのかなんて考えたくもない。 死という現実を目の当たりにしたお姉ちゃんの。 それでも結局、私達二人は桜が丘に帰り、お葬式に出る事を選んだ。 多少とみおばあちゃんと面識のある梓ちゃんや軽音部の先輩方も同行しようか悩んでいたようだけど、私から断った。 思うところは同じだったのだろう、皆すぐに引いてくれた。 お姉ちゃんを見て、すぐに引いてくれた。 お葬式の最中、お姉ちゃんはずっと俯いていた。 暗い顔をしていた。私も同じような顔をしていたと思う。 ただ、お姉ちゃんは涙だけは流していなかった。 だから、なんとなく私も涙だけは我慢した。 本当は泣きたかったけれど。 続きを読む