◆ ゴルフルール 大幅変更 人気ジリ貧の反転攻勢なるか 2019年1月1日、ゴルフのルールが大きく変わりました。 世界のゴルフルールを統括するR&A=イギリスゴルフ協会とUSGA=全米ゴルフ協会が行った35年ぶりの大幅な改訂で、アマチュアにも分かりやすいようルールが見直されました。 来年に東京オリンピックを控えゴルフへの注目が高まる中で、今回のルール改訂をゴルフ人口の拡大につなげようと関係者の期待が高まっています。 ゴルフのルールは、1984年に大きく変更されたあと、4年ごとにマイナーチェンジが行われてきました。 しかし今回はそのタイミングを待たずに大幅な見直しとなりました。 背景には、世界的に広がっている深刻なゴルフ離れがあると言われています。 公益財団法人 日本生産性本部が発表している「レジャー白書2018」によりますと、日本のゴルフ人口は2017年で670万人。 ピーク時の90年代中盤は1400万人近くでしたが、この20年余りで半減しました。 国内のゴルフ人口を支えていた「団塊の世代」の多くが定年とともにゴルフから離れてしまった一方、新たにゴルフを始めようという人が伸び悩んでいると指摘されています。 今回のルール改訂により、これまで「ルールがわからない」と言って敬遠してきた人たちが新たにゴルフを始めるきっかけになれば、と期待されているのです。 今回の改訂は「よりシンプルに、わかりやすく」、そして「よりスピーディーに」がポイントです。 中にはアマチュアのゴルファーのスコアアップにつながるのではないかという内容も含まれています。 その1つがバンカーでの対応です。 バンカーに打球が入った場合、そのボールを拾い上げてバンカーの外から2打罰を加えてプレーできるようになりました。 「打球がOBになった場合」の対処法も変わりました。 正式な競技会では認められていませんが、新ルールでは、これまでの「元の場所からの打ち直し」ではなく、2打罰を加えてOBゾーンに入った付近からプレーできることになりました。 日本のゴルフ場にはプレーの進行を早くするため、第1打がOBになった場合のローカルルールとして「プレイングフォー(前進4打)の特設ティー」が設けられているコースが多くあります。 新ルールにより、今後は特設ティーがなくなる可能性もあると言われています。 さらに、スピードアップにつなげるため、プレーの順番の入れ替えが推奨されたほか、ボールを探す時間がこれまでの5分から3分に短縮されました。 グリーンでパッティングをする際は、旗ざおを立てたままパットをすることも認められるようになりました。 今月3日からハワイで開かれたアメリカ男子ツアーの大会は新ルールでの最初の大会となりました。 新ルールのもと、選手によっては早速グリーン上で旗ざおを抜かずにパットを打つ選手も見られました。 また新ルールではボールをドロップする高さがこれまでの「肩」から「膝」に変わったことで、対応に戸惑う選手も見られました。 日本ゴルフツアー機構の選手会長を務める石川遼選手は「初心者にもわかりやすく改訂されたということだが、最初は『どうだったっけ』というのはあると思うので、慣れていかなくてはいけない。ルールをちゃんと確認していきたい」と話しています。 新ルールをうまく味方につけることが、大会でリズムを崩さずにプレーするためのポイントの1つとなりそうです。 去年、国内男子ツアーでは、試合の前日に開かれた「プロアマ大会」で、プロの選手がプレー中にもかかわらずグリーン上でパットの練習を行い、一緒の組のアマチュアの男性に不愉快な思いをさせたとして大きな問題となりました。 日本ゴルフツアー機構は選手に制裁金と厳重注意の処分を出しましたが、こうした選手の態度はゴルフの魅力を損ない、ファンが離れてしまうことにもつながりかねません。 また国内女子ツアーは放送権の一括管理をめぐって日本女子プロゴルフ協会と主催者のテレビ局との交渉がまとまらず、3大会で今シーズンの開催が不透明な状況となっています。 選手側から大会の存続を臨む声が上がていますが、このまま中止が決まれば新たなファンの獲得には逆行すると言わざるをえません。 日本のプロツアーは男子が今月17日からシンガポールで開かれる大会で今シーズンが始まり、女子は3月からツアーがスタートします。 35年ぶりに行われた今回の大幅なルール改訂を受け、ゴルフ界全体が1つになってファンの拡大に取り組んでいくことが求められています。 NHKニュース 2019年1月15日 15時13分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190115/k10011778381000.html 続きを読む