転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455485418/ 1 :黒猫 ◆7XSzFA40w. 2016/02/15(月) 06:30:18.21 ID:atWXTUy00 ヴァレンタイン。 明日はヴァレンタインだが、あいにく休日ではない。 ここは心に鉄のカーテンをして挑まねばなるまい。 普通の男子生徒は義理チョコさえもらえないのが現実だ。 友チョコだ、本命チョコだときゃっきゃっうふふと騒いでいるリア充どもは 別世界の人間だと最初から除外するとして、 かの有名の義理チョコでさえただの男友達ではもらえないのが宿命である。 ましてやただのクラスメイトであったり、部活が一緒であるくらいでは絶望的である。 もしかしたらチロルチョコくらいはと希望を抱く男もいるだろう。 だが考えてほしい。 使えるお金が限られている高校生がどうして無駄なうけねらいのチョコを配るというのだ。 あれは隣に住む幼馴染みの女の子が毎朝起こしに来るくらいの テンプレ都市伝説だと訴えたい。 そんなわずかな希望を抱くくらいなら、 最初からヴァレンタインに希望を抱かない方が100倍ましだと思う。 まあ、プロのぼっちからすれば、 明日のヴァレンタインはいつもの平日と同じよう過ごせばいいんだが。 それに、俺には本命チョコが期待できる。 きっと家に帰れば、最高の妹たる小町からヴァレンタインの お恵みのチョコが用意されていたるはずだ。 たとえ小町が食べたいチョコレートであったとしても、 そのチョコレートの大半は小町の口の中に消えるとしても、それがなんだというのだ。 小生意気にかわいい小町から貰えるのだから、俺には文句など出るであろうか。 静「さて比企谷。準備はいいか?」 八幡「はい?」 平塚先生、何を言っちゃってるの? さすがにぼけが始まる年でもないし…………、それともあれか? あまりにも現実を悲観してしまって幻想と現実が混合してきたとか? 八幡「ぐはっ!」 静「あまり失礼な事を考えないように」 平塚先生は俺の腹にめり込んだ拳を引き抜きながら静かに問い質す。 八幡「できることなら拳で語る前に言葉をお願いします」 静「比企谷ならこういう展開の方が好きかと思ってな」 八幡「いや、ラノベで読む分には笑えますけど、現実では遠慮したいですね」 静「その意見にはおおむね私も賛成だな。 まあいいか。さて時間も惜しいし始めるとしようか」 八幡「始めるって、なにをですか?」 静「そりゃあこの材料と明日のイベントを知っていればわかるってものだろ?」 馬鹿な事を聞くなって言うその顔。本気で殴りたくなっちゃうからやめてくださいよ。 ただ、まじでやったらかえりうちどころか、 キズものにした償いとしてそのままお婿さんになってしまいそうだから、 まじで、まじで、やらないけど。 2 :黒猫 ◆7XSzFA40w. 2016/02/15(月) 06:30:52.77 ID:atWXTUy00 八幡「チョコレートですよね? ……手作りですか?」 静「…………そうだ」 八幡「………………えっと、頑張ってください。陰ながら応援しています。 じゃっ、そういうわけで俺かえりますね。あとは一人で頑張ってください」 静「ん? 何故帰ろうとする?」 八幡「何故骨が砕けそうなくらい俺の肩を掴んでいるんですか? ってかまじで痛いからはなしてくださいっ」 静「それはわるかったな。そうだな、私が手作りチョコなんておかしいよな。 笑えるよな。そうさ、笑えばいい。 そして明日ここで見た事をみんなに話して私の事を馬鹿にするんだ。 そうに決まっている」 八幡「いや、泣かないでくださいって。そもそも俺には話をする相手さえいませんから。 だから秘密の保守はきっちりしますから」 静「そ、そうか?」 だから、涙ぐまないでくださいって。 実年齢の半分くらいの年に見えちゃうじゃないですか。 しかも、暴力的に可愛いから下手に近づかないでっていうか。 八幡「はい、チョコ作りも俺ができる範囲で手伝いますから。味見なら任せてください」 静「手伝うと言いながらも味見しか手伝わないと宣言するあたりは君らしいな。 まあ私も初めから味見をしてもらうために呼んだのだからかまわないが」 八幡「適材適所っていうじゃないですか。 ………………って、なにやってるんですかっ?」 静「エプロンをつけているんだが?」 するするっと着ていたコートを脱ぎ、 フリル満載の純白のエプロンをつけるところまでは、この際問題にしないことにしよう。 なんというか、意外と乙女チックなエプロンが頬を赤く染めるその姿に似合っているので、 野暮な事は言わない方がいいだろう。 もちろん俺が血迷った事をしないことを警戒しての二重の意味も込めてだ。 八幡「そのエプロンの下にきている服は、もしかしないでも高校の制服ですよね? わかってます。誰にも言いません。だから俺を解放してください」 静「そんな土下座までもしなくても襲ったりしない。 …………それよりもどうだ? 自分で言うのもあれだが、案外悪くはないだろう?」 くるくるっとエプロンで隠れていない後姿を見せようと回る。 これもまた意外と似合っているし、年齢の割には悪くはないとも言える。 さすがにこのまま制服で外出したら風俗の人だと指を刺されてしまうだろうが、 こういうプレイが好きな人であれば十分すぎるほどの威力を秘めているのだろう。 続きを読む