転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1416940803/ 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/26(水) 03:40:03 ID:raNtZPDI 病院からの帰り道。 空には雨雲がかかり、電車に乗る頃には既に雨が降り出していた。 「……」 僕の住む町。僕が降りる駅に着く。 改札口もない田舎の小さな駅。 穴の空いた切符を駅員の人に渡し、窓口と一緒にある待合室を抜ける。 外に出ると雨はいよいよ本降りといった調子。雨脚が強まってきていた。 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/26(水) 03:58:37 ID:raNtZPDI 「…………」 屋根の下、隣のベンチの辺りを一瞥すると、タクシー待ちと思しき人が珍しく3、4人もいた。 険しい顔でタクシー乗り場を眺めたりしているあたり、知り合いの迎え待ちということではないようだ。 バスは端からあてにしてないし、僕の番になるまでどれほど待たされるのか。 「…………」 小考した結果。僕は小さく嘆息し、諦念ぎみに降りしきる雨の中へと足を踏み出した。 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/26(水) 04:03:24 ID:raNtZPDI ◇◇◇◇ 「…………」 雨の中。傘も持たない僕は、濡れ鼠となって閑散とした町を歩いている。 なに、急ぐことはない。 どうせ急いだってびしょ濡れなんだ。ならいっそこの雨を楽しむくらいの余裕があってもいいじゃないか。 そう、胸の内で呟く。 どうせ時間にして三十程度。そう苦ではない。 暗くなってはいるが、まだ午後の3時過ぎ。それも平日に雨とあって人影もない。 せいぜい気鬱そうな車がほんの1、2台過ぎて行ったくらいだ。 奇異に見る目も哀れむお節介な視線もない。 ゆったり濡れて帰ろう。 続きを読む