転載元 : http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1544362119/ 1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/09(日) 22:28:39.307 ID:GSp4XajrD 喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。 ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。 この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。 そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。 いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。 さて、今日のお客様は……。 郷栄一郎(54) 市長 【自治体盛衰記】 ホーッホッホッホ……。」 2: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/09(日) 22:30:35.004 ID:GSp4XajrD テロップ「1983年――、北海道 見越張市(みえつばりし)」 とある選挙対策本部。室内にあるテレビが、市長選の開票速報を伝えている。 テレビの中継を見守る市長候補、選挙スタッフ、支援者たち。 テレビ「速報です。見越張市長選は、新人の郷栄一郎候補に当確が出ました」 万歳三唱をする市長候補・郷栄一郎と選挙スタッフ、支援者たち。 一同「バンザーーーーイ!!!バンザーーーーイ!!!バンザーーーーイ!!!」 テロップ「郷栄一郎(53) 見越張市助役、同市長選で初当選」 テロップ「1984年――」 正月。見越張温泉観光ホテル。1階のロビーは、各地からやって来た宿泊客たちでにぎわっている。 宿泊客の中には、男の子を連れた着物姿の母親の姿も見える。 一方、とある客室では……。例の男――喪黒福造が、部屋の窓から雪景色を眺めている。 3: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/09(日) 22:32:13.906 ID:GSp4XajrD ホテル、大浴場。温泉につかる郷。彼の隣には喪黒がいる。 喪黒「見越張はいいところですねぇ」 郷「は、はあ……」 テロップ「郷栄一郎(54) 見越張市長」 喪黒「私は正月旅行で見越張を訪れたのですが、なかなかいい街ですよ」 「景色がきれいだし、食べ物がおいしいし、人々が親切で……。情緒を感じますねぇ」 郷「ど、どうも……。そこまで、見越張のことを気にいっていただいて……」 喪黒「もしかして、あなたは地元の人ですか?」 郷「地元も何も……。私は、この街の市長ですよ」 喪黒「ほう……。あなたが見越張市の市長さんですか」 郷「そうです」 喪黒「いやぁ……。お近づきのついでに、私も自己紹介をしておきますよ」 4: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/12/09(日) 22:34:13.049 ID:GSp4XajrD 喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。 郷「ウォータープルーフの名刺ですか。それにしても『ココロのスキマ、お埋めします』とは……!?」 喪黒「私は心を扱うセールスマンです。ボランティアでやっていますから、お金は一銭もいただきません」 郷「か、変わったお仕事ですね……」 ホテル、レストラン。テーブルで豪勢な正月料理を食べる喪黒と郷。 郷「私は昨年、この街の市長になったばかりですが……。市政運営をどう行うか日々悩んでいます」 喪黒「無理もありませんよ。見越張市は、街のドル箱だった炭鉱が次々と閉山していきましたからねぇ」 郷「はい……。見越張は、明治時代から1960年代までは炭鉱の街として栄えていました」 「ですが……。エネルギー革命で石油の時代が訪れたせいで、炭鉱が衰退していきましたから……」 喪黒「炭鉱がなくなった後、街を支える産業を何にするかが問題ですよねぇ」 続きを読む