転載元 : http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1543584149/ 1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/30(金) 22:22:29.614 ID:K8RlfJ9RD 喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。 ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。 この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。 そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。 いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。 さて、今日のお客様は……。 水島若菜(29) 元エレベーターガール 【華のデパート物語】 ホーッホッホッホ……。」 2: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/30(金) 22:24:44.683 ID:K8RlfJ9RD 午前。東京、丸富士百貨店。きらびやかで高級そうな店内のフロア。おしゃれな服装に身を包んだ客たち。 1階。数人の客たちがエレベーター前にいる。自動ドアが開くとともに、エレベーターに入る客たち。 エレベーターの中には、店の制服を着た若いエレベーターガールがいる。 エレベーターのボタンを押し、品のある声で客を案内するエレベーターガール・水島若菜。 若菜「上へまいりまーす」 テロップ「水島若菜(29) 丸富士百貨店勤務・エレベーターガール」 若菜と客たちが乗ったエレベーターが、ゆっくりと上へ向かっていく。 午後。丸富士百貨店、7階。エレベーターに乗り込む客たち。客の中には喪黒福造もいる。エレベーターガールの仕事を行う若菜。 若菜「下へまいりまーす」 下へ向かうエレベーター。下の階で降りる喪黒ら客たちと、エレベーターの中に留まる若菜。 若菜(私のこの仕事も、今日で最後になる……) 3: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/30(金) 22:26:19.889 ID:K8RlfJ9RD 回想する若菜。 丸富士百貨店、とある部署。若菜らエレベーターガールたちが、上司に呼び出されている。 上司「申し訳ない話だが、君たちは今月いっぱいでここを辞めて貰うことになった」 「うちも業績が思わしくないんでな……。経営を再建するために、リストラを進めざるを得ないんだよ」 休憩室。先輩のエレベーターガールたちと会話をする若菜。 エレベーターガールA「今の時代は、エレベーターガールの仕事自体がもう時代遅れだからねぇ。こうなることは覚悟していたよ」 若菜「え、ええ……。私たち、これからどうなるんでしょうか……」 エレベーターガールB「水島さんは若いから、まだいいよ。私なんかもう30代だから、これから先、大変だよ……」 若菜の回想が終わる。夕方。丸富士百貨店。いつも通り、エレベーターガールの仕事を行う若菜。 夜。とある歓楽街。若菜とエレベーターガールたちが、酒に酔っ払いながら道を歩いている。 エレベーターガールA「もう1軒行こうーーっ!!もう1軒ーーっ!!」 4: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/30(金) 22:28:37.101 ID:K8RlfJ9RD 1週間後。とあるコーヒーチェーン店。スーツ姿で、鞄を持った若菜が店に入る。 テロップ「水島若菜(29) 無職・元エレベーターガール」 窓側のテーブルに座り、バッグからノートパソコンを取り出す若菜。彼女はそのまま仕事を……始めたのではない。 ノートパソコンの画面に映っているのは、正社員の仕事先やアルバイト先に関する求人情報ばかりだ。 若菜(あーあ……。やっぱり、ろくな再就職先がないな……) コーヒーチェーン店に入り、若菜の隣に座る喪黒。彼は、若菜の様子をチラリと一瞥する。 ネットサーフィンを行う若菜。コーヒーを飲み、パフェを食べる喪黒。 コーヒーチェーン店を出る若菜。彼女の側に、喪黒が近寄る。 喪黒「あなたも大変ですねぇ。失業中なのに、仕事をしている人間のふりをして……」 若菜「私が失業中ですって?そんなことはありません……」 喪黒「嘘をつくのはおやめなさい。あなたはカフェでノートパソコンを操作していましたけど……」 「お仕事をやっていたのではなく、再就職先をお探しだったようですねぇ」 5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/30(金) 22:30:55.278 ID:K8RlfJ9RD 若菜「人のノートパソコンを覗いていたんですか!?プライバシーの侵害ですよ!!」 喪黒「ところで、話は変わりますが……。私はこの間、丸富士百貨店のエレベーターの中であなたに会いましたよ」 「あなたはエレベーターガールでしたけど、おそらくリストラされたのでしょう」 若菜「あ、あなたは何者なんです!?そこまで私のことを知ってるなんて……!!」 喪黒「おやおや、あなたを怖がらせてしまったようですねぇ。私は怪しい者ではありませんよ」 喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。 若菜「……ココロのスキマ、お埋めします!?」 喪黒「実はですねぇ……。私、人々の心のスキマをお埋めするボランティアをしているのですよ」 若菜「め、珍しいお仕事ですね……」 喪黒「あなたのような人を救うのが、私の仕事なんです。何なら、相談に乗りましょうか?」 BAR「魔の巣」。喪黒と若菜が席に腰掛けている。 若菜「私は、小さいころからデパートが好きでした」 「休日に親に連れられてデパートに入った時なんかは、本当にわくわくしましたよ……」 続きを読む