転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1532505924/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/25(水) 17:05:25.64 ID:DMaYnfKn0 ――おしゃれなカフェ―― いつも私は、楽しい時間をもらっているから。 今日は、家に帰った後に、たのしかった、と言ってもらえるような時間を、って。 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/25(水) 17:06:21.30 ID:DMaYnfKn0 ――まえがき―― レンアイカフェテラスシリーズ特別編です。 以下の作品の続編です。こちらを読んでいただけると、さらに楽しんでいただける……筈です。 ・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」 ・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」 ・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」 ・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」 ~中略~ ・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「休日のカフェテラスで」 ・北条加蓮「藍子と」高森藍子「都会のカフェで」 ・北条加蓮「藍子と」高森藍子「郊外のカフェで」 ・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「謎解きと時計のカフェで」 お久しぶりです。本当にお久しぶりです。 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/25(水) 17:07:17.42 ID:DMaYnfKn0 「――そうそうっ、この時のこと、よく覚えています。加蓮ちゃん、メロンパンをじーっと見ていたんですよね」 「うん、なんとなく覚えてるー。すごく美味しそうだったんだよね」 いつものカフェの、いつもの奥の席。 いつも通りに聞こえる柔らかな声も、今日はちょっとだけ弾んでいた。 今日は、7月25日。藍子が生まれてきてくれた日。 「藍子は何を買って食べたんだっけ?」 「え~、覚えてないんですか? 私は、加蓮ちゃんのこと覚えてたのに」 「それは藍子が覚えすぎなだけでしょー」 「ふふ、実はこの前、モバP(以下「P」)さんにもびっくりされちゃいました」 「Pさんに?」 「よく覚えているな、って。そういえばその後、Pさんのことも覚えていますよ? って言って、お話してたら――」 「あぁ。逃げられた?」 「途中でPさんが――って、どうして分かったんですか?」 35度を軽く超える日曜日のお昼に、客は私達しかいない。 特別な日、ってことで、いつもの主役のメロンソーダやアイスココアのグラスには、端っこに寄せてしまって。 代わりにテーブルの真ん中を占拠しているのは、小さなアルバムだった。 4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/25(水) 17:07:45.72 ID:DMaYnfKn0 「相変わらず、加蓮ちゃんですね」 「相変わらずで悪かったわねー」 「悪い、なんて言っていませんよ?」 「今日くらいは相変わらずじゃない加蓮ちゃんをお披露目しちゃおっかなー、なんて思っててさ」 「ふんふん」 「こう、理想の加蓮ちゃん的な」 「ふふっ。加蓮ちゃんは、いつだって理想の加蓮ちゃんですよ」 「でも相変わらずなんでしょ?」 「相変わらずですねっ」 「ざーんねん」 表紙はリーフグリーン模様。めくり跡はほとんどついていない。写真も半分しか入っていない。 そんなアルバムは、藍子の第何十号か分からないコレクションの最新版――ではなくて。 私の持ち物だ。 前々から用意していたプレゼントを鞄に入れて、さあ出よう、って直前に、自室の片隅へと目が行った。 新調したばかりの小さな棚の中にある、買ったばかりのミニアルバム。 少し悩んで、ちょっと持っていってみようかな? って。 続きを読む