転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533429588/ 1: ◆hhWakiPNok 2018/08/05(日) 09:39:48.50 ID:1zrb/YD+0 裕美「あ。このガラス玉、きれいだな……」 アクセサリーの材料を探していた私は、表通りからすこし裏路地に入った所で、小さなお店を見つけました。 ショーウインドーを覗くと、そこにはキラキラした素敵な小物がいっぱい。 そのお店の名前は…… 裕美「魔法を売る店……?」 2: ◆hhWakiPNok 2018/08/05(日) 16:19:03.23 ID:bBMqw/ks0 裕美「現在休店中? 閉店しました、とか、閉店時間中とかじゃなくて?」 開店時間も書いていないそのお店は、『現在休店中』の札がかかり、鍵もかかっていました。 裕美「やってない……みたいだね。残念だな」 ガチャッ。 その時です。中から男の人が出てきたかと思うと、かかっていた『現在閉店中』の札をひっくり返しました。 P「やれやれ。ようやく到着しましたか」 裕美「あ、あの」 P「? はい」 裕美「お店……その、やってるんですか?」 P「はい。しばらく閉めておりましたが、また今日から」 裕美「見せてもらえますか!?」 P「もちろんです。どうぞ……魔法を売る店に」 3: ◆hhWakiPNok 2018/08/05(日) 16:24:27.31 ID:bBMqw/ks0 裕美「うわあ……!」 お店の中は、不思議で、そしてキラキラした小物でいっぱいでした。 宝石みたいなガラス玉、不思議な模様の描かれたプレート、小さなお人形さんたち。 裕美「きれい……」 P「本日は、どのようなものをお求めで?」 裕美「あ、うん。最初はあのガラス玉がきれいだな、って思ったんだけど」 お店の人は、なんだかつまらなさそうに私の指さしたガラス玉をひょいと手にしました。 と、親指と人差し指の間に挟まれていたガラス玉が、人差し指と中指の間、次は中指と薬指の間というふうに、次々と増えていきます。 裕美「手品?」 P「いえ、魔法です」 真面目にそう応えるお店の人が、私はなんだかおかしくなりました。 魔法? そうか、お店の名前が、魔法を売る店なんだもんね。そういうことにしておかないと。 うふふ。 4: ◆hhWakiPNok 2018/08/05(日) 16:28:53.20 ID:bBMqw/ks0 P「なにか?」 裕美「ううん、なんでもないの。それより……あれ?」 気がつくと、私の手の中にはさっきのガラス玉があります。 P「よろしければ、お持ち下さい」 裕美「あの、いくらですか?」 P「魔法のガラス玉は、お代をいただかないことになっております。いくらでも増やすことができますので」 裕美「いくらでも?」 P「いくらでも」 そう言ってお店の人は、両手いっぱいのガラス玉を私に見せます。 あれ? 今さっきまで、この人なにも持っていなかったんじゃなかったっけ? ? 5: ◆hhWakiPNok 2018/08/05(日) 16:31:43.74 ID:bBMqw/ks0 P「それよりも、他に色々な品をそろえておりますよ。火を噴く翼のあるの蛇ですとか、触れた液体をメロンソーダに変える黄金の指、蛙を使役できる金の鞠、コンニャクも両断できる刀……」 裕美「私、そういうのはいいかな。あ、手鏡」 小さなコンパクトの手鏡が、私の目に入りました。 綺麗に装飾された、可愛い手鏡です。 P「ほほう、なかなかお目が高いですね。それはあの有名な……あ、いやいや、前歴はお客様には関係ないことでした」 裕美「?」 P「いずれにいたしましても、なりは小さくなりましたが間違いのない逸品です」 裕美「? よくわからないけど、すごく素敵。これは、いくらですか?」 P「1000万円」 裕美「え!?」 続きを読む