転載元 : http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1540475099/ 1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/25(木) 22:44:59.415 ID:pmsoaP+cD 喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。 ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。 この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。 そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。 いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。 さて、今日のお客様は……。 苅部房雄(58) 作家 【ジビエ】 ホーッホッホッホ……。」 6: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/25(木) 22:47:08.108 ID:pmsoaP+cD 夜。東京、神田。会員制料亭『美食連盟』。机の上には、高級そうな日本料理が並んでいる。 和室の中で、酒を酌み交わし談笑する年配の男たち。彼らは金と地位を持った人間ばかりだ。 鈴置「我々『美食連盟』の初期の会員が、こうやって揃うのも久しぶりですね」 テロップ「鈴置吾郎(63) 陶芸家」 鍋島「いやぁ、主催者の俺ももう年だからな。だから、元気なうちに君たちに会っておこうと思ったんだよ」 テロップ「鍋島弘道(92) 読朝新聞本社・代表取締役主筆 『美食連盟』主催者」 佐村「会員制料亭の『美食連盟』は、鍋島主筆が設立したのですよね。何しろ、主筆は健啖家として有名なお方ですから」 テロップ「佐村信彦(72) カントリーホールディングス代表取締役会長」 苅部「鍋島主筆は、料理に対する関心が深いですからね。私が読朝新聞にエッセイを連載できるのも、主筆のおかげ」 テロップ「苅部房雄(58) 直島賞作家・エッセイスト」 竹村「鍋島主筆がお作りになった『美食連盟』は、日本の食文化を残すための宝。今後も存続させるべきですよ」 テロップ「竹村紀夫(75) カメラマン」 9: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/25(木) 22:49:19.106 ID:pmsoaP+cD 朝。東京、世田谷区。高級住宅街の中に苅部の自宅がある。書斎で机に向かい、原稿を執筆する苅部。 苅部(今の俺は、地位も仕事も保証されている。だが、たまには違ったことをやってみたいものだ……) 昼。喫茶店。席に座り、仕事の話をする苅部と雑誌編集者。苅部は、雑誌編集者に原稿を渡す。 苅部「来月号の原稿ができました」 半藤「ありがとうございます。それにしても、先生の食通ぶりは大したものですね」 テロップ「半藤誠彦(43) 月刊雑誌『文藝隆盛』編集者」 苅部「まあ、私は若いころからグルメに興味がありましたから……。気が付いたら、こうなっていたんですよ」 夜。新宿。とあるホテル。高級レストランの中で、客たちが食事をしている。 店内にいる客たちは皆、裕福で品がよさそうな人間ばかりだ。ここには苅部もいる。 苅部の持つグラスにワインを注ぐ給仕の男性。ワインの匂いをかぎ、これを口にする苅部。 苅部「これは切れのいい酸味ですね」 11: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/25(木) 22:51:20.194 ID:pmsoaP+cD レストランの端のテーブルで、フルコースを食べる喪黒福造。喪黒は遠くから、苅部と給仕の姿を眺めている。 喪黒「…………」 どうやら、喪黒はまたしても何かの企みを思いついたようだ。 レストランを出て、エレベーターを待つ苅部と喪黒。2人はエレベーターに乗り込む。 喪黒「これはこれは……。もしかして、あなた……。苅部房雄先生ではないですか?」 苅部「ええ。私が苅部ですけど……」 喪黒「私、先生のファンなんですよ」 苅部「ああ……、あなたファンの方なんですか」 ホテルを出て、街を歩く喪黒と苅部。 喪黒「苅部先生……。あなたのエッセイストとしての文章の質の高さや、安定感は大したものですよ」 苅部「お褒めにあずかり、光栄ですが……。まあ、たまには違ったことをしたいという気持ちもどこかにあるんですよ」 続きを読む