ティオナ「アルゴノゥト君……食べていい?」ベル「ダ、ダメですよっ!!」

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転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1533993319/

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/11(土) 22:15:19.43 ID:6RuttCED0
ティオナ「ねぇねぇ、アイズ」

アイズ「なに、ティオナ?」

ここはロキ・ファミリア本拠、【黄昏の館】。
団員達の憩いの場である広々とした大広間にて、一際目を惹く2人の美少女が紅茶を飲みながら和やかに歓談していた。実に絵になる光景。

話しかけたのは、ティオナ・ヒリュテ。
褐色の肌が特徴的なアマゾネスの女の子。
ロキ・ファミリアの幹部であり《大切断》の異名をオラリオに轟かす、Lv.6の第一級冒険者。
泣く子も黙る、ヒリュテ姉妹の片割れである。

姉ティオネの姿はここにはなく、彼女は現在、愛しのロキ・ファミリア団長、《勇者》フィン・ディムナの執務室で甲斐甲斐しく彼の世話を焼いている。ティオネは彼に恋をしていた。
とはいえ、残念ながらフィンにはあまり相手にされてないらしい。今後の進展に期待しよう。

そんな絶賛片思い中の姉のことは、さておき。
今日はファミリアの休日で、探索はお休みだ。
団長であるフィンは雑務に追われて忙しそうだが、他の幹部達はそれぞれ身体を休めていた。

しかし、休みと言われても正直暇で仕方ない。
というわけでティオナは、同じく暇を持て余している様子の《剣姫》アイズ・ヴァレンシュタインに、前々から気になっていたことを尋ねてみることにした。特に何も気にせず、直球で。

ティオナ「あのさ、アイズってさ、もしかしてアルゴノゥト君のことが好きなの?」

アイズ「ぶっ!?」

飲みかけの紅茶を盛大に噴き出すアイズ。
普段物静かな彼女からは想像出来ない反応。
これにはティオナも目を丸くして驚いた。

ティオナ「ど、どうしたの、アイズ?」

アイズ「……ティオナがおかしなこと言うから」

ティオナ「なんで? なんかおかしかった?」

アイズの非難の視線もどこ吹く風。
ティオナは首を傾げてキョトンとしている。
色恋沙汰に対して興味関心が強い傾向のあるアマゾネスにしては、彼女はとても鈍感だった。





2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/11(土) 22:18:01.07 ID:6RuttCED0
とはいえ、アイズもまた、非常に鈍感であり。

アイズ「そういうの、私にはよくわからない」

本心から、そのように返答して茶を濁した。
もちろん、彼女とて考えた末の結論だ。
考えても、考えても、答えなど出ない。
《剣姫》の異名からもわかる通り、これまでアイズは剣の道に没頭してきた。恋愛経験は皆無。
絶対的に経験値が不足していた。Lv.0である。
なので、そう答えるしかなかったのが実情だ。

ティオナが口にしたアルゴノゥト君とは、ヘスティア・ファミリア団長、《白兎の脚》ベル・クラネルのことだ。真っ白な頭髪で、赤目な男の子。
アイズは彼がまだ駆け出し冒険者の頃に知り合って、それからたびたび接する機会があった。
どうにも放っておけず、つい手を差し伸べたくなるような少年だった。良い子、だとは思う。

しかし、彼に対する感情の正体は不明である。

もちろん興味はある。なにせ成長速度が速い。
最速でLvを上げ続けて、あっという間にLv.4。
並みの冒険者ならば10年かかっても不可能だ。
強さを求めるアイズはその秘訣が気になった。
しかし、それも今となっては形骸化している。

ベル・クラネル自身の魅力に、惹かれていた。

どうして強くなったのか、その答えは簡単だ。
あまたの強敵と対峙して、それを屠ってきた。
そしてその経験を糧として、力を手に入れた。
たしかに、その成長速度は常軌を逸している。
それでも、彼の偉業は、純然たる事実である。
故に、強くなった。ただ、それだけのことだ。
シンプルで且つ、明快な雄姿に目を奪われた。

そんなベルを、アイズは好ましく思っていた。


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/11(土) 22:20:52.87 ID:6RuttCED0
ティオナ「よくわからないって言うけどさー。何度もあの子の修行を手伝ってあげてるよね」

アイズの返答に対して、異を唱えるティオナ。
上目遣いで探るような視線を向け真意を問う。
たしかにベルには戦闘の手ほどきをしてきた。
強くなることを望む彼の助けになりたかった。

それに、膝枕もしてあげたかったし。

とはいえ、それが恋愛感情かは不明である。
そもそも、修行内容はただの戦闘訓練なのだ。
別に逢瀬を重ねていたわけではない。訓練だ。
たまに、一緒にお昼寝なんかもしたけれど。
それでも、だからと言って、デートではない。

だいたい、ベルは他の子とデートしてるし。

主神である胸の大きな可愛い女神様とか。
ハーフエルフのギルド職員の女の子とか。
パルゥムの女の子とか、獣人の女の子とか。
いつも見かけるたびに、別の女の子と居る。

あの子はわりと節操がないのかも知れない。
先程良い子とは言ったものの、悪い子かも。
そういうのは、よくないと思う。浮気はダメ。
もっと一途に、ひとりの女性を愛するべきだ。

このモヤモヤした感情の根源も、不明だった。

これが俗に言う嫉妬なのかも知れないけれど。
どうにも理由がわからない。根拠が乏しい。
このモヤモヤが恋愛感情に基づくものなのか、はたまた可愛いペットに対するものなのか。
大事に育てた白兎を奪われたくない一心ならば、それは恋愛感情からはかけ離れている。

というか、ティオナだって一緒に修行したし。
それで疑うのならば、彼女だって同じだろう。
だからアイズは、逆にティオナに聞いてみた。

アイズ「そう言うティオナは、ベルのことをどう思っているの?」



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