転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1542396111/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2018/11/17(土) 04:21:51.76 ID:cVnS6gHZ0 「ごめんなさい。……ごめんなさい、プロデューサーさん」 「本当は駄目なんだって、わかってます。まだ駄目。今の私とプロデューサーさんじゃ、まだここまで進んじゃ駄目なんだって……それは、わかってるんです」 「わかってます。……わかってますけど……でももう、我慢していられないんです……」 静かな、静かな、部屋の中。 普段は外から響いてくる誰かの足音も、綺麗だったり可愛かったり色とりどりな誰かの歌声も何も。普段満ちている音の何もかもが無い今。甘い香りだけを漂わせ、ただぐちゅ、ぐちゅ、と普段聞きなれない粘り気を帯びた水音が小さく鳴り渡る二人きりの仮眠室。 それまで閉じていた目を少しだけ開いてぼーっとまだ虚ろに呆けた様子のプロデューサーさんの横、そこへそっと寄り添って。静かにゆっくりと上下させる手の動きはそのまま、その呆けた顔を覗き込むようにして見つめながら、ぽつぽつ言葉を口に出す。 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2018/11/17(土) 04:23:50.59 ID:A31OYsbcO 「わかってます。私は、プロデューサーさんのことならなんだってわかってるんです」 「プロデューサーさんが私のことを好きでいてくれてること。アイドルとしても、異性としても、誰より大好きでいてくれてること」 「誰より。……他の、どんな誰よりも」 「いっぱいのアイドル達。たくさんのスタッフさん達。プロデューサーさんの周りには数えきれないくらい大勢の人がいて……でも、その中の誰よりも私を好きでいてくれている。大切に思って、愛おしく想ってくれている」 「それはわかってるんです。だからまだちゃんと男の人としては私に応えてくれないことも、だからまだ私とこうするのを我慢してくれてることも」 「わかってます。……でも、わかってて……わかってるのに、でも、もう、駄目なんです……」 眠りから覚めて、目の前の瞳がだんだんと光を取り戻していく。 滔々と送られる私の言葉、熱く火照ってきっとすっかり赤く濡れてしまっている私の顔、静かな中で唯一敏感に伝わっているはずの私の手の感触。それを受けて少しずつ瞳の中の光と共に意識が目覚め醒めていく。 やがてハッとしたように表情を変え、ぶるりと身体を震わせて、そして声を出そうと口を開いて、 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2018/11/17(土) 04:25:55.40 ID:A31OYsbcO 「ん……ん、ちゅ……」 でもさせない。 開かれた口を自分の口で塞いで閉じる。 キス。プロデューサーさんと私とのキス。初めての……眠っている間にしてしまった分を除けば生まれて初めての、大好きな人とのファーストキス。 「……ん……だめ。……だめ、ですよ」 「喋ったらだめ。今は私が話す番。……私の、告白の番なんですから」 「だから、だめ」 駄目、と言われながら、それでもまた開こうとする口をもう一度塞ぐ。 目が覚めたら突然よくわからない言葉を送られて、しかも大切で敏感な部分を握られ擦られていて。そんなの駄目と言われたって口を開いてしまうのはわかる。わかるけれど、でもさせない。言わせない。伝え終えるまでは私の番。 続きを読む