ダクネス「せ、せめて、胸を揉むとか……」カズマ「おかまいなく」

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1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/25(水) 21:13:20.50 ID:HfQ+yNW40
めぐみんばかり贔屓してはいけないと義憤に駆られ、今作はダクネス視点での物語となります。
そうした作風や卑猥な表現が苦手な方は、くれぐれもご注意ください。

それでは以下、本編です。





2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/25(水) 21:14:55.64 ID:HfQ+yNW40
私の名は、ダクネス。
クルセイダーを生業としている者だ。
防御には自信はあるが、攻撃はからきし。
どれだけ剣を振るおうが、全く当たらん。
それ故に、いつも仲間に苦労をかけていた。

カズマ「ちょっとは攻撃を当てろよ!」

ダクネス「す、すまない……次こそは、必ず」

カズマ「次も何も当たった試しがないだろ!」

ダクネス「うぅ……何でもするから許してくれ」

クエストの帰り、私は叱られていた。
叱っているこの男は、サトウカズマ。
私のパーティのリーダーで、黒髪の青年だ。
攻撃が当たらないせいで、戦闘は大苦戦。
その尻拭いをするのは、いつも彼だった。
そんなカズマは私の謝罪を受けて、不意に。

カズマ「ん? 今、何でもするって言ったか?」

その、まるでつい今しがた名案を閃いたかのような口調で確認され、私は迂闊だったと悟る。
こんな時だけは、本当に耳ざとい奴だ。
しかも、自らの欲望に忠実でタチが悪い。
どうせあられもないことを要求するのだろう。
それが、この男の駄目なところであり。
同時に、私好みのタイプであるとも言えた。

ダクネス「くっ……! やむを得ん……何でも言ってみろ! どんな要求でも、私は飲んでやる!」

するとカズマは、私にこんな要求をしてきた。


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/25(水) 21:17:30.97 ID:HfQ+yNW40
ダクネス「なあ、カズマ」

カズマ「なんだよ、ダクネス」

場面は変わって、ここは私の部屋だ。
戦闘での不手際の責任を取らされている。
ではどのように責任を取らされたかというと。

ダクネス「ほ、本当に、これ以上何もしないのか? それはそれで、かなり辛いんだが……」

カズマ「しないよ」

ダクネス「しかし、抱きつくだけなんて……」

私は今、カズマに抱かれていた。
しかも、ベッドの上で、だ。服は着たまま。
カズマが上で私が下だ。彼が覆い被さる格好。
仰向けで、股の間にカズマの腰を挟んでいる。
カズマはうつ伏せで、私を抱きしめていた。
それはいろいろと、たまらない体勢だった。
しかし、カズマはさっきから微動だにしない。

ダクネス「せ、せめて、胸を揉むとか……」

カズマ「おかまいなく」

ダクネス「キス、するとか……」

カズマ「間に合ってます」

さっきからずっとこんな調子なのだ。
私の胸に顔を埋めて、抱きしめるだけ。
それ以上は一切、何もしてこない。
クエストの帰りに告げられた要求が、これだ。

『気が済むまで、抱かせろ』

その要求に胸を高鳴らせた私は、愚かだった。


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/25(水) 21:20:42.09 ID:HfQ+yNW40
彼に抱かれながら、窓の外を眺める。
今日は晴天で、澄んだ青空が眩しい。
天空を舞う渡り鳥の群れが美しかった。
時間はゆっくりと流れて、ドキドキしている。

白状すると、私はカズマのことが好きだ。

しかし、その気持ちは封印している。
他にもこいつを好きな者がいるからだ。
それはよりにもよって、仲間のめぐみん。
爆裂魔法しか習得していない変わり者のアーク・ウィザードだが、小柄で顔立ちは可愛らしく、何より愛嬌があって魅力的な美少女だった。

それに比べて、私ときたら。

ダクネス「はあ……」

思わず、ため息が溢れた。
私はちっとも愛嬌がない。
おまけに背が高く、庇護欲も唆らない。
だからきっと、駄目なのだろう。
だからきっと、彼は何もしてくれないのだ。

ダクネス「可愛く、なりたいな……」

思わず呟いてから、しまったと我に返る。
油断した。聞かれてしまっただろうか。
もし聞かれていたら、絶対に馬鹿にされる。
もうひとりの仲間である宴会芸が得意なアーク・プリーストのアクアや、先程紹介しためぐみんにすぐさま言いふらされてしまうだろう。

ダクネス「い、今のは、その……」

なんとか誤魔化そうと必死に言い訳を考えていたのだが、どうやらその心配は杞憂だった。

ダクネス「なんだ、寝てしまったのか」

すやすやと、規則正しい彼の寝息が聞こえて。
どっと、疲れた。緊張した私が馬鹿みたいだ。
こっちはこんなにも、ドキドキしているのに。

やはり私には、魅力が全くないらしい。



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