転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1541947692/ 1: ◆3I/q9VviEw 2018/11/11(日) 23:48:12.48 ID:KPnJu9sOo さくら、泉、亜子の3人と一緒に誕生日ケーキを囲んでいた俺は、余韻に浸りながら机を片付けていた。 親御さんもゆっくり祝いたかろう、遅く帰って心配させてもいけないから、と言って早く帰らせたつもりだったのだが、2階にある事務所の窓から外を見渡すと日はすっかり落ちていて、思いのほか冬は近づいていたのだった。 今日は11月11日、泉の誕生日だが、どうやら暦の数字よりも日の沈む早さの方が季節を感じさせてくれるらしい。俺はまだまだアナログ人間なのだろう。 2: ◆3I/q9VviEw 2018/11/11(日) 23:49:30.15 ID:KPnJu9sOo 「P、忘れ物しちゃった」 不意に声が聞こえて、振り向くと今日の主役が立っていた。 「おお、そうか。どこだ?見当たらなかったけどな」 「Pが今手に持っているそれよ」 俺が持っていたのは何でもないポッキーだった。そういえば、これは珍しく亜子が持ってきたものだ。ケーキは俺が用意しているって知ってたはずなのに。 3: ◆3I/q9VviEw 2018/11/11(日) 23:50:42.76 ID:KPnJu9sOo 「ポッキー?最後まで封切らなかったから棚にしまっておこうと思ったんだけど、これもプレゼントだったのか?」 「そうなるわ」 泉は階段を急いで登ってきたせいか少し息が乱れていたが、その口調は3人で帰っていった時のはしゃぎたりない雰囲気とは打って変わって落ち着いていた。 「そうだったのか。はい、どうぞ」 ポッキーを手渡して背を向けると、おもむろに箱を開ける音が聞こえた。俺は驚いて振り返り泉の顔を見つめたが、彼女の視線は箱の方に向いたままだった。 4: ◆3I/q9VviEw 2018/11/11(日) 23:51:54.52 ID:KPnJu9sOo 「ねえP、今日はポッキーの日でもあるんだよね」 泉はぽつり、ぽつりと話し始める。 「アイドルになってから、人の心は理屈じゃ計れないってことがよくわかったの」 「私自身の心もどんどん自由になって、思いがけないことも感じるようになった。」 そして泉は視線を上げて、俺の目を見てこう言った。 「私は今、Pとポッキーゲームがしたいの」 続きを読む