転載元 : http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1538682283/ 1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/05(金) 04:44:43.622 ID:PkXfMdIkD.net 喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。 ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。 この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。 そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。 いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。 さて、今日のお客様は……。 小室保馬(40) エコノミスト 【座敷わらし】 ホーッホッホッホ……。」 2: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/05(金) 04:46:50.961 ID:PkXfMdIkD.net 深夜。東京、港区。日の出テレビ。討論番組「朝まで激論テレビ」の撮影が行われている。 経済問題を巡り、侃々諤々の議論を行う出演者たち。今日の出演者は、経済関係の学者や文化人たちが多い。 どの出演者も、皆、自分の持論を大声で好き勝手に唱えている。この男もそうだ。 小室「今の日本経済に不可欠なのは、将来、発展する可能性がある分野を育てることです!」 「農業、観光、再生医療、AIなど……。これらの分野は大いに発展の余地があります!」 テロップ「小室保馬(40) 城南大学教授・エコノミスト」 早朝。テレビ局の控室。討論番組が終わり、出演者たちはビールを飲みながら談笑している。 一人でビールを飲む小室に対し、この番組の司会者が声をかける。 田村「小室先生。あなたが執筆した新著、読ませていただきましたよ」 テロップ「田村恭一朗(84) ジャーナリスト、『朝まで激論テレビ』司会者」 小室「ああ。『新・経済原論』のことですか……」 田村「そうです。僕とは考えが若干違うものの、なかなか興味深い内容でした」 3: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/05(金) 04:49:00.501 ID:PkXfMdIkD.net 小室と田村を見つめながら、何かをひそひそと話す出演者たち。 出演者A「あれが、『新進気鋭のエコノミスト』と呼ばれる小室保馬か……」 出演者B「小室は一匹狼で変わり者らしいけど、どうやら噂通りの男のようだな」 テレビ局を出て、タクシーで帰りにつく小室。 小室(一匹狼で変わり者……か。それで大いに結構だ) (頭脳と論理で社会を分析し、未来を切り開いていくのが俺のやり方だからな) ある高級住宅街。小室家、台所。朝食を食べる妻を目にする小室。 葉月「あら、あなた食事は?」 テロップ「小室葉月(38) 七橋大学教授・経営学者」 小室「外で済ませてきた。こんなこと、言わなくても分かるだろう」 葉月「まあね。私たちは夫婦なのに、家で顔を合わせる機会さえも少ないんだから……」 小室「俺はこれからゆっくり寝る。君は今から仕事に行くんだろ」 5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/05(金) 04:51:21.794 ID:PkXfMdIkD.net 妻がいなくなり、ベッドで横になる小室。 小室(そろそろ俺は、妻と別れるべきなのかもしれないな……) 昼。ファミレス。とあるテーブルで、小室は、編集者に原稿を渡す。 小室「これが来週分の『週刊ビジネスマン』の原稿です」 編集者「ありがとうございます。先生の過去の連載分、書籍化してはいかがでしょうか」 小室「まあ……。原稿のストックが貯まっていますから、ちょうどいいでしょうね」 遠くの席でコーヒーを飲む喪黒福造。喪黒は、編集者と会話する小室の姿を目にする。 原稿を受け取り、店を出る『週刊ビジネスマン』編集者。席で一人になった小室に、喪黒が声をかける。 喪黒「あのぅ、もしかしてあなた……。小室保馬先生ですね?」 小室「ええ。そうですよ。私が小室保馬ですよ」 喪黒「ならば、ちょうどいいところです。サインをお願いしますよ」 喪黒は、小室の著書とサインペンを持っている。 続きを読む