転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1539788831/ 1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/10/18(木) 00:07:11.80 ID:ar6VvWzY0 ※キャラ崩壊してます 2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/10/18(木) 00:07:53.28 ID:ar6VvWzY0 湊友希那(初秋の風が撫ぜる歩道橋) 友希那(めっきり冷え込んだ夕闇の風) 友希那(今日も今日とて、今日が過ぎゆき陽が沈む) 友希那(いつ終わるとも知らないけれど、今日が確かに終わっていく) 友希那(ただなんとなく立ち止まった私は西の彼方の稜線へ視線を送る) 友希那(地方都市と呼ぶのも憚られる関東の片田舎。歩道橋から望むその街の寂れた景色は郷愁を呼び起こし、空っぽな私の胸を容赦なく殴りつけてくる) 友希那(生まれた街の景色と、数多くの美しき思い出と、それらを共にしたかつての仲間たち) 友希那(それと、誰よりも何よりも多く、私の中に存在する幼馴染の影) 友希那(どんなに手を伸ばしたってもう二度と届かないそれらが、私を完膚なきまで打ちのめす) 友希那(その途方のない寂しさと後悔に立ちすくむ。どれほど強く願っても消えてくれないそれらが私の足にまとわりついてきて、動けなくなる) 友希那(そのままどれくらい経っただろうか) 友希那(歩道橋の下を通り抜ける車の数を数えきれなくなったところで、ようやく私の足にまとわりつく幻想は消えてくれた) 友希那(空はもう暗い色で塗りつぶされていた) 友希那(ため息を吐き出して、私はひとり、家路と消すに消せない思い出を辿る) …………………… 3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/10/18(木) 00:08:47.19 ID:ar6VvWzY0 友希那(何がいけなかったのか。誰が悪かったのか) 友希那(頭の中に呼び起こすのはこれで何百回目かの悔悟) 友希那(大切な幼馴染がいて、大切な友達がいて、大切な夢があって、大切な日々があった) 友希那(しかしそれは3年前に脆くも崩れ去った) 友希那(原因はなんだったのか、なんて、まるで他人事みたいに考える) 友希那(この思考こそが過ちであって、私が今こうして独りでいる原因なのだ) 友希那(当たり前に続くと思っていた) 友希那(何があったってリサはリサで、みんなはみんななんだ) 友希那(私はただ愚かしくそう思い続けていた) 友希那(あこが出て行った理由を、燐子が声を振り絞った理由を、紗夜が諭してくれた理由を、リサが何も言わなかった理由を、考えようともしなかった) 友希那(独善的な思考に縋り、ただ自分が思うように、信じるままに進めばいいんだと自分勝手に思い込んでいた) 友希那(だからだろう。ロゼリアがロゼリアでなくなってしまったのは) 友希那(険峻な坂道ほど登るのは大変で、転げ落ちるのは早いものだ) 友希那(気が付いた時には全部が手遅れで、私とかつての仲間たちが一つの場所に戻ることはなかった) 友希那(それでも愚かな私はそれでいいんだと思っていた。信じた道を進んだ結果だから、と無理矢理納得した振りをしていた) 友希那(その気持ちもすぐに崩れ去った) 友希那(どんなことがあったって傍にいてくれる、と) 友希那(ただの傲慢でしかないその思考で接していた幼馴染に別れを告げられたからだ) 4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/10/18(木) 00:09:47.07 ID:ar6VvWzY0 友希那(何がいけなかったのか。誰が悪かったのか) 友希那(その問いに向き合った時にはもう手遅れだった。全部が終わってしまっていた) 友希那(もう少しだけ、あとちょっとだけでも早くそうしていれば) 友希那(そんな後悔を重ねているうちに、私はひとりぼっちになっていた) 友希那(輝かしい思い出は姿を変え、悪夢となって私の心を責め立てる) 友希那(『全部お前のせいだ』と夜な夜な枕元でがなり立ててくる) 友希那(外を歩けば思い出の残滓がいたるところに垣間見えて、立ちすくんでしまう) 友希那(だからもう、あの街にはいられなかった) 友希那(高校を卒業すると、私は遠い県外の大学に通い、そこから電車で20分ほど離れた賃貸マンションで一人暮らしを始めた) 友希那(寂れた街に不釣り合いな5階建ての1DK) 友希那(そこと大学と、あとはアルバイト先を行ったり来たりするだけの生活だ) 友希那(情熱も希望も何もない、空っぽの生活だ) 続きを読む