転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1426777678/ 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/20(金) 00:07:58 ID:LBpj59oo ある日。 俺宛てに差出人不明の1枚のDVDが郵送されてきた。 プラスチックケース入りの、タイトルも何も書かれていない市販のDVD─R。説明書どころか紙切れ一枚添付されていない。 封筒には俺の宛て名と住所を明朝体で打ったシールが貼られてある。 いかにも、俺がまったく関知しないところで作られた名簿からプリントアウトしたって感じだ。 普通なら「気味が悪い」と思って当然だろう。 俺の名前と住所を知る誰かが、自分に関する情報を一切明かさず一方的に送りつけてきたんだから、そのままゴミ箱行きにして何の問題もないに決まってる。 ディスクに何が仕込まれてるか分かったもんじゃない。 しかし人間、往々にして怖いもの見たさっていう心理が働く。 それだけじゃなかった。俺の悪い癖──妄想癖が抑えようもなく頭をもたげていた。 (もし万が一、俺に思いを寄せている内気なクラスメートの女子が、ビデオレターとして告白してきたんだとしたら!) (しかも「私を見て」とか言って全裸で! あるいは突然、ストリップを始めたりとか!) ……そんな自分に俺は負けた。 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/20(金) 00:11:09 ID:LBpj59oo エロい内容である可能性も考え、両親が寝静まってからリビングに入り、テレビのスイッチを入れてDVDデッキに挿入する。 「明日は学校があるし、長い映画だったら翌日回しにしよう」──そう。俺は絵に描いたようなバカだった。 (「一緒にオナニーしよ…… 一枚ずつ脱いでいくから俺君も」) (「パンツ脱いだ? ほら見て…… 私のここ…… 俺君のことを考えて、もう、こんなにぐちょぐちょだよぉ……」) 独り善がりな妄想が暴走を始めていた。俺の股間がどんな状態だったか言うまでもあるまい。 再生が始まった。突然、大写しの題字。 「エノキダケの青春」? 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/20(金) 00:18:22 ID:LBpj59oo 太字のマジックで書いたような、お世辞にも上手とは言えないその白抜きの字が、黒地画面で小刻みに震えている。 そして画面全体を羽虫のように乱れ飛ぶノイズ。昭和初期の映画かよこれは。 空気が抜ける風船の勢いで股間の一物がしぼんでいく。 やべぇ。 こりゃなんとも怪しげな意図が臭う…… そう感じた時点で直ちに停止ボタンを押すべきだった。しかし俺は押さなかった。見続けてしまった。 題字からいきなり、アップになった男の子の顔。 ぞくりと頭から背中に痙攣が走り、飛び退くようにソファの背もたれにのけぞった。 上半身裸で真正面を向いた男の子が……? 白黒画面の下から上へと出たり入ったりしている。何だこりゃ。 ……ジャンプを繰り返しているのか? 男の子は六つか七つぐらいだろう。坊主頭で満面の笑顔。白い歯を見せている。ナレーションもBGMも一切無し。 続きを読む