転載元 : http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1535192446/ 1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/25(土) 19:20:46.213 ID:D+duLEviD 喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。 ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。 この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。 そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。 いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。 さて、今日のお客様は……。 香川翔太(30) 消防士 【炎への執着】 ホーッホッホッホ……。」 2: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/25(土) 19:22:33.089 ID:D+duLEviD ある夜。一軒家が炎をあげて激しく燃えている。ゴオオオオオッ!!! 火災現場へ向かう消防車。現地には、防火服を身にまとった消防士たちが次々と現れる。 ホースを持ち消火作業を行う消防士たち。その中に、精悍な顔立ちの男――香川翔太がいる。 テロップ「香川翔太(30) 消防士・双龍消防署勤務」 炎を恐れず、燃えている家の中に入る消防士たち。 消防士のある一人が、部屋に倒れている母親や小学生の少年を抱きかかえる。 火災から数か月後。小学校で、例の少年が教室で作文を書いている。 少年(燃えている家の中に倒れていた僕とお母さんは、消防士さんに助けられました) (僕とお母さんが今生きているのは、消防士の人たちのおかげです) (だから、僕は大きくなったら消防士になろうと思います) テロップ「東京都、双龍市――」 正午。双龍消防署。建物の中では、午前中の訓練を終えた消防士たちが食事をしている。 消防士たちが食事をしながら会話をする中、香川だけは明らかに周囲から浮いている。 4: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/25(土) 19:24:31.246 ID:D+duLEviD 香川「…………」 消防士たちは、何かひそひそと香川のことを話しているようだ。 消防士たち「香川の奴、一体何を考えて毎日を生きているんだ?」「さあ……、あいつは一匹狼で変わり者だからなぁ……」 「酒を飲む量はごくわずか、タバコは吸わない、ギャンブルも女遊びもしない……。そんなんで生きてて楽しいのか?」 「でも、訓練や勤務は至って真面目……。ある意味、得体の知れない奴だよな。香川って」 ある日。双龍市の郊外。周囲を緑に囲まれた中に、建築から年数が経った家がある。 その家は生活感が全く感じらず、誰も住んでいるようには見えない。どう見ても廃屋だ。 この廃屋の中には人がいない……、いや、一人いる。私服姿の香川翔太だ。 廃屋の居間にいる香川。彼の足もとには、クシャクシャになった古新聞の紙と、透明な液体が入ったペットボトルがある。 ペットボトルのふたを開け、古新聞に油をかける香川。彼はさらにライターを取り出し、古新聞に火をつけようとする。 その時……、香川の後ろからある声がする。 喪黒「お待ちなさい!!」 香川が後ろを振り向くと、そこには喪黒福造が立っている。 香川「うおっ!!びっくりしたあっ!!」 5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/25(土) 19:26:50.833 ID:D+duLEviD 喪黒「誰もいないこの家で……。あなた、一体何をしているのですかねぇ……!?」 香川「そ、それは……」 喪黒「おや……。あなた、どうしてライターを持っているのですか……?それと、足元にある新聞紙……」 香川「ううっ……!!」 喪黒「放火は犯罪ですよ」 香川「す、すみません……!!どうしても、魔が差してしまって……!!」 喪黒「魔が差す!?それにしちゃあ、ずいぶん手慣れた手つきでしたなぁ……。まるで、常習犯に見えますよ」 香川「くっ……!!」 喪黒「もしかすると……。あなた、現役の消防士さんではないですかねぇ……!?」 香川「ど……、どうして俺が消防士だと分かったんですか!?」 喪黒「いやぁ……。仕事柄、長年、人間観察を行ってきた賜物ですよ。何しろ、私はこういう者ですから」 喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。 続きを読む