955: 仕事バカ 05/03/18 00:19:51 ID:KK8pUecV 二年前舅が亡くなった。半年の入院生活の上、最後は意識の戻らぬまま 帰らぬ人となった。 私たちは結婚して10年になる共働き夫婦。どちらも少し変わった職種 で、帰宅はいつも深夜。盆も正月も休みがとれなかった。忙しさにかま けて、実家とのやりとりも少なくなり、私の実家には一度も、夫の実家 には一度しか顔を見せなかった。それを気にしていないわけではなかっ たが、夫は家族と不仲で決して一人では帰郷しようとしない。私は特に 正月が忙しく仕事をはずせないので「ひとりでも田舎に帰って」と頼ん だことが何度かあったが、夫は聞き入れることも無く、私もだんだんに 言わなくなってしまった。そんな時、舅の緊急入院。本当に突然だった。 癌だ。 それから毎週帰郷するようになった。東京から東北へ、いままで通えな かった分取り戻すつもりで通った。取り戻せるわけがないのに。 舅が食事をとれなくなってきたと連絡があった。せめて流動食でも口に いれて欲しいとヴィシソワーズを持っていった。冷製スープなら時間が たって冷めることも気にならない。 「初めて食べたけどうまいなぁ」 舅が口にしてくれた。うれしかった。このまま元気になってくれるかも しれないと淡い期待すら抱いた。 でも病魔の進行は抑えられなかった。日に日に弱っていく舅が、ある日 夫に言った。 「母さんをたのんだぞ」 「何言ってンだよばか」 夫はそれしか言えなかった。「うん」とでも言おうものなら舅がすぐに でも召されてしまいそうで恐かったのだそうだ。 続きを読む